良い知らせと悪い知らせがある

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本当に良い映画も、良くない映画もレビューします。

千と千尋のX-MEN 映画『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』の感想、レビュー

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筆者の厳選記事5選

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こんにちは、もとむらはじめ(@motomurahajime)です。


『スター・ウォーズ』の新作エピソードの邦題が決まりましたね。「THE LAST JEDI 最後のジェダイ」ですか。タイトルロゴが通常の黄色から赤に変わっているのも特徴ですね。

gigazine.net

さて、今週も新しい映画の公開がはじまりましたので、一本観てまいりました。

今回レビューする映画は『アリス・イン・ワンダーランド』でもおなじみ、ティム・バートン監督の最新作『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』です。

 

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映画『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』

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映画『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』オフィシャルサイト

【原題】Miss Peregrine's Home for Peculiar Children

【公開】2016年9月30日/アメリカ

【上映時間】127分

【監督】ティム・バートン

【脚本】

【出演】エヴァ・グリーン、エイサ・バターフィールド、クリス・オダウド、サミュエル・L・ジャクソン

【あらすじ】少年ジェイクは、現実と幻想が交錯する中で、奇妙な子供たちが暮らす“ミス・ペレグリンの家”を見つけ出す。子供たちが不思議な能力を持ち、ひたすら同じ一日を繰り返す理由を知る一方で、彼らに忍び寄ろうとしている危険に気付くジェイク。さらに、ミス・ペレグリンの家へと導かれた理由と自身の役割を知る。やがて、真実が明らかになるとともに、子供たちに思わぬ変化が起こるが……。(シネマトゥデイ)


映画.comの評価平均点 3.6点 / 全6件

Yahoo!映画の評価平均点 3.72 点 / 全53件

僕の評価は100点中 40点

 

ざっくりとした感想は...

前半は『千と千尋の神隠し』っぽい。後半は『X-MEN』っぽい。

ティム・バートン監督の作品になぞらえると、前半は『アリス・イン・ワンダーランド』で、後半は『ダークシャドウ』といったところでしょうか。前半と後半でガラリと作風が変わる印象です。

僕の隣りに座ってた女性二人組は、上映後に「面白かった~!最近観た中ではイチバン面白かった!!」など興奮気味にお話されてて、ひっくり返りそうになりました。

ずばり言って、僕の感想は「死ぬほど退屈で、後半からは頭を抱えたくなるほど面白くなかった」。

映画の「面白いor面白くない」を判定する客観的な基準として、僕は「映画のエンドロールが始まったタイミングで、どれだけの人が劇場から帰ろうとするか」で見るんですけど、本作は約半数のお客さんが、いそいそと帰ってました。

本当に面白い映画を観たときって、エンドロールが始まってもなかなか帰れないほど圧倒されるものなんですけどね。僕の隣で面白いと言っていた女性は、熱狂的なディム・バートン監督のファンの方か、普段はNHKの教養番組ばかり観ているような方なのかもしれません。

 

...それはいいとして。

ミス・ペレグリンを演じたフランスの至宝(僕が勝手に言ってます)エヴァ・グリーンは、年齢を重ねてますます美しい女優さんになりましたね。目元にきついアイラインをしてても、登場するだけでスクリーンが華やぐようです。僕が褒めたいのはそんなところかな。

美しい...

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ティム・バートン監督作品の雑感

ティム・バートン監督作品と言えば、僕は『バットマン』シリーズが彼の最高傑作だと思っていて。『シザー・ハンズ』とか『チャーリーとチョコレート工場』はすいません、観ていません。

それで、『バットマン』シリーズ以降の彼の作品もちょこちょこと観てはいるんですけど、どれもハマった作品がなくてですね... 今回もハードルを下げに下げて観に行ったら、下げたハードルの下をくぐってくるような完成度でした。

まあ、それくらいのテンションです。彼の作品については。

 

『ダークナイト』より好きかも。『バットマン』 

 

 

彼の作品が大好きって方もいらっしゃるでしょうし、それを腐すつもりは毛頭ありません。ただ、僕が彼の作風というか作品に乗れない要因のひとつとしては、ここ最近の彼の作品でも特に強く感じる「すごい映像、ショッキングな映像、ありまっせ」感なんですよね。

彼の過去作でも、それこそ奇妙な演出だったり、ショッキングな映像だったりが作風のひとつだったかもしれません。『アリス・イン・ワンダーランド』だって、ガンガンにCG使ってあのワンダーランドの世界観を演出してましたから。

『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』も、映像はすごかったですよ。たとえば予告編でも観られる、沈没船が浮上するシーンだとか、ミス・ペレグリンの時間を戻す特殊能力のシーンだとか。

でも、映像を観ても何のカタルシスもない。「ああ、すごい映像だね」それだけ。映像に裏付けされた悲しみだとか、喜びだとか、楽しさだとか、そういうのを感じない。僕としては、「なるほど!こういう経緯があって、沈没船を浮上させるのか!アガるぜ!!」が欲しいんですけど、そんな期待はどこ吹く風で。

キャッチコピーの「ディム・バートン史上、もっとも奇妙」はハードル上げ過ぎてますね。彼の過去作で似たような映像、いくつも観た感じがする。だからこその、前半は『アリス・イン・ワンダーランド』で、後半は『ダークシャドウ』。

どうせ「もっとも奇妙」と煽るのであれば、あまりにも想像できないような伏線の回収だったり、ラストのカタルシスだったりを用意してほしかった。映像だけすごくて「ほらほら、驚いたでしょ?」ってやられても、すごいだけの映像に慣れきってしまった僕の心は動きませんでしたね。

ああ、映画観すぎかなあ...

 

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予告編、見せ過ぎ問題

予告動画ですけど、本作はちょっと大事な部分を見せ過ぎな感じがしますね。これから観るのが楽しみって方は、あまり予告動画は視聴されない方がいいかも。

というのも、「奇妙なこどもたち」の能力はほぼ予告でわかっちゃうし、先に書いた「沈没船の浮上」以上の映像的なオドロキはありません。

かろうじて「アタマにマスクをかぶった双子」の能力がちょっと意外だったくらいで(それでもまあ、勿体ぶったぶん最強クラスの能力なんだろうくらいには勘ぐりましたが)。


子どもたちについて説明しすぎなくらい、動画が用意されている。

youtu.be

 

後半の「異能バトル」以降がとにかく残念

後半は「生まれつき特殊な能力をもった人間が、その能力を活かして戦う」異能バトルものが展開されまして。

そう、まさに『X-MEN』でした。

 

 

僕にとっては 「こんな使い方があったか!してやられた!!」というオドロキもなく、まあ残念な出来でしたけどね。

おそらく、日本人は『ジョジョの奇妙な冒険』だとか『ONEPIECE』だとか、異能バトル系のコンテンツに普段から触れているため、ある程度の免疫ができているのかもしれません。そう考えたら、海外だってMARVELコミックスのスーパーヒーローとかもそうなんだけど。

後半以降はとにかく足し算のしすぎ。ループだとかインブリンだとかホローだとか、この世界観でしか通用しない設定がいきなりワッと出てきて、もう意味がわからないし、ついていけないですからね。

 

そもそも、後半からまさかの異能バトルになったことで、ティム・バートン監督の「売り」であるはずのダーク感がまったく削がれてしまった。何度も引き合いに出してますが、「ディム・バートン史上、もっとも奇妙」と銘打つのであれば、前半の保護施設で話を完結させるべきだったように思います。

というのも、ディム・バートン監督の作品すべての根底に流れる、「異質な存在への眼差し」が、前半の保護施設での、主人公ジェイクとミス・ペレグリン、そして奇妙な子どもたちのふれあいにはたしかにあったのに、後半が異能バトルになってしまったために、ブレちゃってる。

さらに言うと、僕はラストがあまりに納得のいかない終わり方でして。

ジェイク、結局は現実の世界には向き合わずに、あっちの世界に言っちゃったのか...

 

というわけで、まとめ

『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』は、ティム・バートン監督の頭のなかにある「想像力の宝箱」をひっくり返したような作品じゃないでしょうかね。テーマとかメッセージとかはともかく、「俺はこんな映画が作りたかったんだ!!」っていう。そういう意味では、最初の方に挙げた『千と千尋の神隠し』なんかも、宮崎駿監督の「宮崎駿性」が爆発した作品だったので、似通っている部分はあるかもしれません。

それがハマるかどうかは、観るアナタ次第。僕はまったくダメでしたけど。

 

最後にどうしてもツッコミたかったところを。

『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』の公式ホームページより。


孤独な少年と”キミョかわいい”子供たちの不思議な友情と驚くべき冒険の物語を描く、愛おしさに満ちたダーク・ファンタジー


「キミョかわいい」って... 

キラーフレーズのつもりなのかね。たしか『スーサイド・スクワッド』では「ワルかわいい」っていうセンスのかけらも感じられない宣伝文句が使われてたけど。もしかして担当者同じなのかな。

 

ティム・バートン監督の作品はどれも大好き、「『アリス・イン・ワンダーランド』大好き、かわいい!!」って方は、ぜひ劇場にて!

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