ハードで危険、大人向けのルパン三世。映画『LUPIN THE IIIRD 血煙の石川五ェ門』の感想、レビュー
こんにちは、もとむらはじめ(@motomurahajime)です。
今日も、いつもの立川シネマシティで最新の映画を観てきましたよ。小池健監督の最新作にして『LUPIN THE IIIRD 次元大介の墓標』の続編にあたる、映画『LUPIN THE IIIRD 血煙の石川五ェ門』です。
それでは、さっそくレビューへとまいりましょう。
映画『LUPIN THE IIIRD 血煙の石川五ェ門』
映画『LUPIN THE ⅢRD 血煙の石川五ェ門』公式サイト
【原題】LUPIN THE IIIRD 血煙の石川五ェ門
【公開】2017年2月4日/日本
【上映時間】54分
【監督】小池健
【脚本】高橋悠也
【声の出演】栗田貫一、小林清志、浪川大輔、沢城みゆき、山寺宏一
【あらすじ】日本。 伊豆沖を進む賭博船で、襲撃された鉄竜会の組長を救ったのは、若き用心棒・石川五ェ門だった。だが直後に大爆発が起こり船が大破。組長も命を落とす。爆発の原因は斧を武器に使う大男だった。一旦は男を追いつめた五ェ門だったが逃げられてしまう。一方、賭博船から金を奪うことに成功したルパン三世と次元大介、峰不二子は、洋上のボートからその様子を目撃する。(公式ホームページより)
映画.comの評価平均点 3.6 点 / 評価:3件
Yahoo!映画の評価平均点 4.25 点 / 評価:32件
僕の評価は100点中 70点
小池健監督の前作『次元大介の墓標』(Huluで観られるよ)が思ってた以上によかったので、まあまあの期待感を持って鑑賞。
僕のざっくりとした感想は...
ウム、浪川大輔の五エ門も悪くないな。おっ、沢城みゆきの不二子もセクシー!おおっ、山ちゃんの銭形のとっつぁんも渋くていいじゃん!!(今さら)
声優さんが交代されてからはとんと観なくなった「ルパン三世」シリーズですが、違和感もなく、80年代ルパン好きの僕としても、非常に楽しめました。
僕と「ルパン三世」シリーズの距離感
まず最初に僕の「ルパン三世雑感」を書いておくと、これまでもあんまりルパンのアニメとかは観てこなかったんですよね、昔から。『カリオストロの城』とか『複製人間』といった80年代のルパン映画が好きで観てたくらいで。僕の中のルパン三世は、いまだに山田康雄さんの声で、赤ジャケットを羽織っておるのです。クリカンの声も嫌いじゃないけどね。
僕の「ルパン映画」最高傑作
最近になって『名探偵コナン』とコラボしたり(個人的には最悪)、声優さんが交代したり、『峰不二子という女』とか『ルパン三世 PART4』が放送されたりと、ルパン三世界隈がにわかに沸き立ちましたが、もともとアニメをあまり観ないという性分もあって、2000年代以降のシリーズは追いかけてこなかったんですよ。
とはいえ、「食わず嫌いもいかんなあ」ということで、ちょうどHuluで配信されていた『LUPIN THEIIIRD 次元大介の墓標』を観ていたところ... なんとこれが名言製造マシン映画でありまして。
「お前がどれだけ軽い銃を使おうが知ったこっちゃ無いが、俺に言わせりゃロマンに欠ける」
「俺はただ、美味い煙草が吸いたいだけだ」
最高じゃないですか...
しかもラストには「あの」ゲストキャラクターも登場して、今後の展開に期待が膨らみましたね。観た人ならわかってくれるハズ。
それで年が明けて2017年、このタイミングで小池健監督のルパン三世シリーズ続編、『LUPIN THE IIIRD 血煙の石川五ェ門』が公開になるということで、これは観に行こうと思った次第なんであります。
五ェ門の「フレッシュな」殺陣にご注目
今回の『血煙の石川五ェ門』は、『次元大介の墓標』の約1ヶ月後のお話。まだルパン一味と五ェ門がつるむ前で、剣豪として悟りを開く前の、ちょっと高慢で未熟な五ェ門が描かれます。剣豪・石川五ェ門誕生秘話であると同時に、「斬鉄剣」誕生秘話でもあるわけですね。
本編のルパン、次元、不二子はほとんど脇を固める役回りで、銭形がいつも以上にストーリーの核に迫る感じでした。僕としては、「五ェ門の成長物語」と「銭形がルパン一味に執着していく物語」という印象。
さて、本作には2つの「見どころ」があります。
ひとつは、「石川五ェ門50人斬り」。
小池監督もインタビューで語っておられるとおり、殺陣のシーンは、これまでのルパンシリーズでは1対1の対決が多かった五ェ門のイメージを刷新するほどのインパクトがありました。
そもそも、五ェ門って敵と1対1で戦ってるイメージが強かったように思うんですよね。対複数も、画面真っ暗で剣閃だけ光らす、というような。一方、本作では流れるような50人斬りを見せてくれます。しかも、これでもかというレベルでのスプラッター描写で。
予告でもしっかり観られる、流れるような殺陣
さらに、これまで五ェ門のバトルシーンといえば、三味線や尺八といった「これぞ殺陣」という印象の音楽をバックに、一瞬で勝負をつける...というもの。
「これまでの五ェ門」といえば、こんな感じの音楽
本作では打って変わって、音楽担当ジェイムス下地さんによって「新たな石川五ェ門」が印象づけられます。今までにないフレッシュなBGMとともに凄惨な殺陣のシーン...この組み合わせ、なかなか最高です。ファンならずともぜひ観てほしいシーンですね。
もうひとつは、「強敵ホークとの果し合い」。
前作『次元大介の墓標』では、次元と同業者であるガンマン・ヤエル奥崎が敵として登場しますが、『血煙の石川五ェ門』の敵・ホークは、剣豪ではなく元兵士で二丁斧の使い手。ある意味での異種格闘技戦が展開されます。さらにはホークの戦闘能力、そして掴みどころのない異常性についても、五ェ門の最強の敵として不足なし。ラストバトルまで「こんなやつにどうやって勝つんだよ!五ェ門」感が持続するのは、本作のひとつの楽しみと言っていいでしょう。
『アルプスの少女ハイジ』のアルムおんじを彷彿とさせるホーク。アルムおんじ元傭兵説もあるくらいだし。
小池監督が「今回はR18指定を目指した」とコメントされているように、ホーク戦では50人斬り以上にエグいシーンが待っています。何といっても、「肉を切らせて骨を断つ」をガチで映像化してますから。わざわざ腕が斬り落とされる瞬間をスローモーションで見せるくらい。五ェ門も重症レベルのダメージを負うしね。
54分じゃやっぱり短すぎる
上映時間、54分。前作『次元大介の墓標』は同じ尺でまとまり感があったとは言え、本作はちょっと物足りなさがありました。
良し悪しありますが、敵組織の全貌がまったく不明なまま終わってしまうところ。本作の最強の敵であるホークの裏にいる人物、日本の警察機構ですら操ってしまう人物というと... 『次元大介の墓標』で最後に登場した「あの」人物が想起されますが、本作ではお目見えなし。
謎を謎のまま終わらせて、次回作への期待感を持たせるのは全然オッケーなんですが、消化不足感はありましたね。せめてちょっとでもチラ見せさせてほしかったなあとは思います。
というわけで、まとめ。
映画の終わり方からみても、続編あるでしょうね。本作ではルパン、次元以上に表に出てきた銭形のとっつぁんが、次の主人公かな?
最後に鑑賞秘話。僕の後ろの席に、おそらく小学校低学年くらいと思われる年頃の男の子を連れた父子が座っていらっしゃいまして。切り株シーン(スプラッター)が映し出されるたびに、後ろの席から「ぐえっ」とか「うえっ」なんてうめき声が聞こえてきてね。
彼にとってはいい体験になったと思います。思えば昔は、たまたまテレビのロードショーで観た映画のエグいシーンに遭遇することなんて、よくあったもの。僕らはそれで免疫つけていったからね。
ただ、この映画は一応PG12だからさあ。お父さん、禁止じゃないけど配慮は要ったと思うよ。
5月にBlu-ray出ます。