良い知らせと悪い知らせがある

良い知らせと悪い知らせがある

本当に良い映画も、良くない映画もレビューします。

氏曰く「50年に一度の傑作」。映画『マグニフィセント・セブン』の感想、レビュー

この記事をシェアする

筆者の厳選記事5選

f:id:motomurahajime:20170130225855j:plain

こんにちは、もとむらはじめ(@motomurahajime)です。

マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)待望の新作、ベネディクト・カンバーバッチ主演『ドクター・ストレンジ』が安定の客入りのようですね。じつに良きことです。

今回は『ドクター・ストレンジ』と同じくらい注目していた最新映画を観てきましたよ。アントワーン・フークア監督最新作、デンゼル・ワシントン主演『マグニフィセント・セブン』です。

 

いつもの立川シネマシティで鑑賞してきたわけですが、あれほど銃声がバンバン鳴り響く映画であるにもかかわらず、極上爆音上映でないのはもったいないような...まあ、『ドクター・ストレンジ』の方がお客さんも入りますし、それは仕方ないのでしょうが。

とはいえ、『マグニフィセント・セブン』は、個人的には1月公開の映画のなかでもっとも面白く、もっともおすすめしたい映画となりました。

ということで、さっそくまいりましょう。

 

 

スポンサーリンク

映画『マグニフィセント・セブン』

youtu.be

映画『マグニフィセント・セブン』 | オフィシャルサイト | ソニー・ピクチャーズ

【原題】The Magnificent Seven

【公開】2016年9月23日/アメリカ

【上映時間】133分

【監督】アントワーン・フークア

【脚本】ニック・ピゾラット、リチャード・ウェンク

【出演】デンゼル・ワシントン、クリス・プラット、イーサン・ホーク、ヴィンセント・ドノフリオ、イ・ビョンホン

【あらすじ】悪漢バーソロミュー・ボーグ(ピーター・サースガード)によって牛耳られ、絶望を感じながら生きているローズ・クリークの町の人々。住民の一人であるエマ・カレン(ヘイリー・ベネット)は、賞金稼ぎのサム(デンゼル・ワシントン)、ギャンブラーのジョシュ(クリス・プラット)、流れ者、拳銃の達人といった7人の男を雇って、バーソロミューの手から町を救い出すように頼む。金のためと割り切って戦いに身を投じるサムやジョシュだったが……。(Yahoo!映画)

映画.comの評価平均点 3.7点 / 全58件

Yahoo!映画の評価平均点 3.75点 / 全258件

僕の評価は100点中 80点

 

『映画秘宝』2月号にて、杉作J太郎氏曰く「50年に一度の傑作」。

実際にこの目で観た、僕のざっくりとした感想は...

同日公開の『ドクター・ストレンジ』の魔術ジェスチャーよりも、断然『マグニフィセント・セブン』の拳銃クルクルを真似したくなる!

それくらい、熱いし、滾(たぎ)るし、面白い!

 

まるで夢の国。ディズニーランド体験。

まず言っておくと、この映画とディズニーはまったく関係ありません。

「夢の国」と表現したのは、『マグニフィセント・セブン』の舞台である17世紀のアメリカの雰囲気が、じつに素晴らしかったからです。7人が荒れ地を馬に乗って走る、横一列になってひとつの画面に収まる、それらのカットを観ただけで、完全に魅了されてしまいました。「ああ〜これが西部劇だよォォォ」ってね。

 

さらに、ファッションから建造物から、細かい小道具に至るまで、ひとつの世界が完璧にできあがっている。まったくスキがない。「ああ〜夢の国だ、ディズニーランドみたいだ、最高ゥゥゥ!」。ワクワクが止まらない!

上映がはじまると、まるでディズニーランドのゲートをくぐったかのようで、上映が終わると、またあの世界観にどっぷり浸かりたいという欲求が湧いてくる...

そんな映画でした。まさに夢の国。なるほど、杉作J太郎さんが「50年に一度の傑作」と評されたのも頷けます。

 

刮目して観よ!この「画になる」7人を!

f:id:motomurahajime:20170131092725j:plain

 

Yahoo!映画やFilmarksに寄せられたユーザーレビューの中に、「主人公が黒人、アジア人、メキシコ人、インディアンもいるチームなんてありえない!」なんて感想が散見されましたが、はっきり言って、「そんなとこ気にしてるの?考え過ぎじゃない??」って感じ。

やれ「今のハリウッドでは白人だけの映画は撮れない」だとか、やれ「なんで西部劇に韓国人の俳優がいるんだよ!」だとか。まるで「東京ディズニーランドのキャラクターの中の人(はいませんけど、あえて)は日本人じゃないとダメ」とか文句言ってるようなレベルの話。

最高すぎる7人の人種とか国籍とか、だれが死に、だれが生き残ったかに意味を見出して、あれこれやいのやいの言うのは野暮ってもの。何度も言っているように、身を委ねましょう。「キャストはなるべくしてその役を演じた」。そういうスタンスで観たほうが、ゼッタイに気持ちいい。

 

「西部劇」は時代遅れでも何でもない。ゲームでも然り。

 

 

スポンサーリンク

みんな最高だけど、とりわけイーサン・ホーク。

この手の映画ではよく言われがちな「それぞれのキャラが描ききれていない」とか、「戦いに参加する動機が明確でない」とか、そういった心配は『マグニフィセント・セブン』ではほとんど杞憂だと言っていいでしょう。

キャラ立ちに関しては文句なしに、7人それぞれのキャラクターが描けてましたし、戦いに参加する動機も、レビューサイトなどでは批判のタネにもなっていましたが、僕は劇中の描写で十分だと思っています。そもそも逮捕されて縛り首にされてもおかしくないような犯罪者だったり、金が欲しかったり単に腕試しがしたかったりと、戦いへの参加の動機が敵そのものへの因縁である必要はないわけで。

それは原典である『七人の侍』もそうでしたよね。七人それぞれに思惑があって、村を守る決意をする。ひとまとめにしてしまえば、「腹いっぱい飯が食える」という理由で死地に赴くわけですし。

その魅力的で漢(おとこ)の魅力をプンプンたたえた、マグニフィセント(崇高)な7人の中でも、とりわけ僕がお気に入りだったのが、イーサン・ホーク演じるグッドナイト・ロビショー。

f:id:motomurahajime:20170130224320j:plain

 

佇まいがまずカッコイイ。眉間に刻まれたシワが渋い。南北戦争には狙撃手として参加し、そこから付いたあだ名が「“死の天使”グッドナイト・ロビショー」という、厨二心をくすぐるネーミングがまた良い。

ちょっとだけネタバレすると、彼は南北戦争で大活躍しておきながら、PTSD(心的外傷後ストレス障害)を患ってしまい、以降銃が撃てないという設定なんですが、それがまた他の6人にはない、キャラの深みを感じさせます。ひとつだけ欲を言えば、彼が劇中ではじめて銃を撃つシーンは、あそこよりも戦が始まってからの方が良かったですね。もう少しためてためて...たら、彼の魅力は倍増したかも。

まあそれはいいとして。観た人それぞれに、お気に入りのキャラクターができると思います。7人の持つ武器の違いにキャラクター性を見出すのも面白いかも。ファッションも、戦闘スタイルも、考え方や他のメンバーとの接し方なんかもそれぞれ違って個性があって、何より文句なしにカッコイイ!まさにマグニフィセント!!

 

唯一ケチをつけるとしたら...

キャラも良い、世界観も良い、ストーリーも良い、全てにおいてスキなしかと言えば...

ほんの微妙なところではあるんですけど、ケチをつけるとしたら、敵のキャラクターももっと引き立ててほしかったですね。どうしても7人が魅力的過ぎて、ちょっと小物臭を感じてしまいました。

ピーター・サースガードが演じた、敵ボスのバーソロミュー・ボーグ。ビジュアル的には最高。

f:id:motomurahajime:20170130224930j:plain


『マグニフィセント・セブン』、原典は『七人の侍』『荒野の七人』であることは間違いないのですが、この映画を語るには『十三人の刺客』も忘れちゃいけない一本だと思うんですよね。


個人的に三池崇史監督の最高傑作だと思っている『十三人の刺客』。

  

 

『十三人の刺客』も、『七人の侍』の影響は多分に受けているとは思いますが、決定的に違うところがある。

それは敵の描写です。『七人の侍』の敵である野武士は「得体の知れない敵」。対して『十三人の刺客』は、敵のキャラクターが明確に「立っている」。

稲垣吾郎が演じた松平斉韶。あれほど「こいつさっさと殺さないとヤバイことになるぞ」と思わせる敵キャラはそうそういないですよ。日本映画史に残る敵キャラだと思います。

f:id:motomurahajime:20170130225227j:plain


もうひとつ、魅力的な敵キャラということで言うと、同じく開拓時代のアメリカが舞台の、2012年クエンティン・タランティーノ監督『ジャンゴ 繋がれざる者』も思い出します。

 

こちらも黒人が主人公の異色?西部劇。

 

 

レオナルド・ディカプリオが演じたカルビン・J・キャンディもまた、実に魅力的な敵キャラでした。「さっさと殺さないとヤバイことになる」感で言えば、『十三人の刺客』の松平斉韶に肉薄するレベルだったかと。


ここまで憎たらしい差別主義者を演じてみせたディカプリオはすごいと思う。

f:id:motomurahajime:20170130225325j:plain


この2本を念頭に置いて、『マグニフィセント・セブン』の敵キャラ、バーソロミュー・ボーグを見てみると...

わけのわからない(悪党特有の)理論を振りかざし、地上げのヤクザのごとく町民を脅し、歯向かうものは容赦なく銃殺する冷酷さはあったものの、それ以上の突き抜けたものがなかった。僕の目には、ただの悪徳業者のドンにしか見えなかったんですよ。


ラスト、ボーグと「7人のうちのある人物」との間に浅からぬ因縁があることが発覚しますが、ほぼ当人の台詞だけで説明されるのが実にもったいない。まあ、途中に「それっぽい」描写がなくもないんですが、もっと視覚に訴えるレベルでの非道ぶりが観たかったですね。映画的にはダメだけど、子供でも容赦なく殺すくらいでよかったんじゃないかなあ。

それはもう、観客が彼に憎悪の念を持つくらい。そうじゃないと、戦いの途中で力尽きていく仲間たちが浮かばれないし、「最後の一発」の重みも違ってくるから。

こういうジャンル映画の敵は憎たらしいほど、情け心が入る余地がないほど、「悪党め。神に祈りな ドンッ!」の、倒したときの爽快感は格別になる。僕はこれを「クリリンのことかーっ!!!!!」理論と名付けています(勝手に)。

 

「!」が5つも付くくらい憎悪される敵は、むしろアッパレなのである。

f:id:motomurahajime:20170130230430j:plain

 

というわけで、まとめ。

先に書いたように、『マグニフィセントセブン』は、1月公開作品のなかでブッチギリにおすすめしたい映画です。待望のMARVEL最新作『ドクター・ストレンジ』とくらべても、断然『マグニフィセント・セブン』を推しますよ、僕は。

とはいえ、『ドクター・ストレンジ』も面白い映画でしたけどね。


1月に観た最新作は、これで計6本となりました。何かと忙しい月ではあったんですが、なんだかんだで観に行ってますねえ...

おすすめ順に並べると、こんな感じ。

1位『マグニフィセントセブン』

2位『沈黙 サイレンス』

3位『ネオン・デーモン』←女性におすすめ!

4位『ザ・コンサルタント』

5位『ドクター・ストレンジ』

6位『疾風スプリンター』

 

それぞれの感想、レビューはこちら。

 

さて、1月も残り1日となりました。書きながら気づいたんですが、2月の注目映画ランキングをまだアップしてなかった...

明日、アップ予定ですのでお楽しみに~

 

サントラ出てます。

 

スポンサーリンク