良い知らせと悪い知らせがある

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本当に良い映画も、良くない映画もレビューします。

新たなSF映画とプロレスと。映画『メッセージ』の感想、レビュー。

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筆者の厳選記事5選

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こんにちは、もとむらはじめ(@motomurahajime)です。

もう5月も下旬ですよ…2017年の経過は2016年より早い!

あっという間に上半期も終わりそうです。

そろそろ「上半期映画ランキング」の準備でもしようかな。

さて、今回も新作映画を一本観てきました。

映画『メッセージ』です。

ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督が宇宙船のデザインのインスピレーションを「日本のお菓子『ばかうけ』から得た」という、嘘かマコトか定かではないメッセージを残したことでも話題となりました。

それでは、レビューへとまいりましょう。

 

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映画『メッセージ』

youtu.be

映画『メッセージ』 | オフィシャルサイト | ソニー・ピクチャーズ

【原題】ARRIVAL

【日本での公開】2017年5月19日

【上映時間】116分

【監督】ドゥニ・ヴィルヌーヴ

【脚本】 エリック・ハイセラー

【出演】エイミー・アダムス、ジェレミー・レナー、フォレスト・ウィテカー

【あらすじ】巨大な球体型宇宙船が、突如地球に降り立つ。世界中が不安と混乱に包まれる中、言語学者のルイーズ(エイミー・アダムス)は宇宙船に乗ってきた者たちの言語を解読するよう軍から依頼される。彼らが使う文字を懸命に読み解いていくと、彼女は時間をさかのぼるような不思議な感覚に陥る。やがて言語をめぐるさまざまな謎が解け、彼らが地球を訪れた思いも寄らない理由と、人類に向けられたメッセージが判明し……。

映画.comの評価平均点 3.7点 / 評価:112件

Yahoo!映画の評価平均点 3.77点 / 評価:457件

Filmarksの評価平均点 3.9点

僕の評価は100点中 85点

ざっくりとした感想は…

僕を含めた、おそらく多くの観客が思ったことでしょう。

「ようわからんけど、すごい映画を観た気がする」

 

各レビューサイトを見ても、大絶賛の方もいれば、駄作とけなす方もいらっしゃいます。

何と言うか、一言であらわすと「現代アートを観たときのような気分」ですね。

作風じたい(宇宙船の造形も)も、非常にアート的というか、すごく強烈なメッセージを発しているんだけど、どこか掴みづらいというか。

「宇宙人襲来か!?」というSF映画ではありがちな題材を使っていながら、実は非常に奥が深い、底が見えそうで見えない底なし沼のような、そんなメッセージが隠されている映画でした。

ただひとつ言えることは、1回の鑑賞でこの映画を理解するのは到底ムリ。その無理さ加減は、昨今の映画の中では飛び抜けていますね。

というわけで、今回の僕の感想は…非常に無理くり書いた感がありますことを、先にお詫び申し上げます。

 

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『メッセージ』は、派手な打撃も投げ技もないプロレスだ

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ある日突然、地球に宇宙人がやってきたら…

たいていのSF映画では、世界最強のアメリカ軍が征伐に乗り出すか、世界中の国々が協力して返り討ちにするか、なんだかんだで侵略されて終わりか。

とにかくよくあるのは、「人類対宇宙人の戦争」という構図ですね。

例外的には、かの名作『未知との遭遇』がありますが。

 

この『メッセージ』については、映画評論家の町山智浩さんが素晴らしい解説をされていますし、絶賛派の方々は、「いろんなことを考えさせられる映画」という感想を述べられています。

www.youtube.com

 

僕自身、鑑賞後は過去に観たどの映画とも違う、不思議な感覚にとらわれました。なんともたとえようのない高揚感というか、「すごい映画を観た」としか言い表せない感情。

 

僕が抱いたこの感情を何かにたとえることができないか…

偶然、その日の夜に観た新日本プロレスの試合で、まさに「もしかして、これも映画『メッセージ』と同じような感情なのではないか?」と思うことがありましてね。

それがこちらの試合、「タイチ vs TAKAみちのく」。

 

対戦する二人のプロレスラーについて説明しておきますと、ふたりとも同じヒール(悪役)ユニット「鈴木軍」に所属する選手。

いわゆる同門対決(味方同士の対決)であり、お互いが「相手の手の内を知り尽くしている」と言うほど旧知の仲。

タイチ選手 http://www.njpw.co.jp/profile/709

TAKAみちのく選手 http://www.njpw.co.jp/profile/710

そんなレスラー同士が戦うと、どんな試合になるのか…?

 

ネタバレ?になりますが、開始のゴングが鳴ってしばらくは、にらみ合い。

会場から「早くしろ!」という野次が飛んできても、お構いなし。リングをぐるぐる回りながら、にらみ合い。

ようやくロックアップ(がっちりと組み合うこと)するかと思いきや、一方が軽く躱してリング外へ降り、相手と距離を取る…の繰り返し。

それが5分、6分、7分と続くわけです。

しびれを切らした観客の「帰れ!」コールも何のその、二人は直接触れ合うことなく、攻防らしい攻防もないままにらみ合い、試合が8分ほど経過したところで、ようやく打撃の応酬…

と思いきや、これもお互いに手の内を読んでいるのか、当たらない当たらない(Twitterの動画のシーン)。

そして、試合開始9分ごろにようやくファーストコンタクト…で、タイチ選手がTAKAみちのく選手の裏をかいて丸め込み、3カウントであっという間に決着。

 

おそらく、観ていた観客、視聴者のほとんどが唖然としたことでしょう。

「なんだこれ?ホントにこれがプロレスかよ?」

当然ながら、賛否両論巻き起こる試合。

でも、これもプロレスなんです。

選手が怪我するほどの、バチバチの打撃戦、派手な飛び技なんてなくても、それまでのストーリーの構築と、にらみ合いと、ちょっとの技があればプロレスは成立する。

そんなメッセージを汲み取ってしまうような、特別な一戦でした。

 

…さて、長いプロレス話を続けましたが、本題に戻りましょう。

「宇宙人が地球にやってきたら、とりあえず武力で迎え撃つっしょ!」というSF映画の定番を覆し、宇宙人とのコンタクトに重きをおいた『メッセージ』は、まさに「タイチ vs TAKAみちのく」のプロレスと同じ。

非常に強引なこじつけなのは承知のうえですが、『メッセージ』も「タイチvsTAKAみちのく」も観たという数少ない僕の同志であれば、たぶん納得してくれるはず…

宇宙人が地球にやってきたからと言って、侵略が目的とは限らない。相手とコンタクトを取り、平和的な解決を目指すことも、十分にSF映画になりうる。

つまり、戦うだけが地球人と宇宙人の運命じゃない。

一方で、「観念的、概念的でわかりにくい、面白いと思えない」という否定派の方々がいるのも当然です。

この映画には、それくらいの強い「メッセージ」があったのは確かですから。

 

というわけで、まとめ

「宇宙人が地球にやってきた」という映画内イベントがオモシロすぎたので、ここにフォーカスを当てて語ってきました。

ただし、この映画が観客に伝える「メッセージ」はもっと深いところにあると思います。言ってしまえば、宇宙人がやってきたくだりとかは、観た人に伝えられるべき「メッセージ」のお膳立てにすぎない。

その「メッセージ」とは、過去現在未来という「時間の縛り」、コミュニケーションの道具としての「言葉」、真相を知ったときの「究極の選択」などなど捉え方はさまざま。

このあたりはまだ1回の鑑賞では、まったく捉えきれていません。

真相を知ってからもう一度観ることで、初回の鑑賞とは異なる感想を持つタイプの映画だと思います。

原作小説を読むことでも、別の視点を得られるかもしれません。

さてさて、初回の余韻を忘れないうちに2回めの鑑賞に行ってきます。

 

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今日のおやつは「ばかうけ」に決定

劇中の音楽が印象的でした

原作小説『あなたの人生の物語』