良い知らせと悪い知らせがある

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ドナルド・トランプが勝利!アメリカ大統領選のあとに観たい、政治映画8選+2作品

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筆者の厳選記事5選

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photo by DonkeyHotey | Flickr

トランプ氏の勝利で幕を閉じたアメリカ大統領選挙2016。

8年前の前回にくらべ、日本人の関心も高かったように思います。

ということで、この世界的な一大イベント(米国では本当にお祭りです)に便乗して...

最初は「アメリカ大統領選挙をテーマにした映画」を紹介しようと思ったんですが、「大統領選は今日で終わるのに、今さらかよ!」という遅きに失した感があるので、内容を改めて「アメリカ大統領選の後に観たい映画8選+2作品」をご紹介します。

 

アメリカの政治映画8選

アメリカの大統領選をテーマにした映画、大統領が主人公の映画、大統領が活躍する映画をピックアップしてみました。

 

スーパー・チューズデー 正義を売った日

 

マイク・モリス知事(ジョージ・クルーニー)の大統領選挙キャンペーンチームで戦略担当を務めるスティーヴン(ライアン・ゴズリング)は、決戦のキーポイントとなるオハイオ州予備選討論会の後、ライバル陣営から密会の依頼を受ける。その後、インターンとして働く女性と仲良くなった彼は、選挙戦を揺るがす重大な秘密を知ってしまう。

どの国であっても、国のトップを決める選挙がまったくのフェアプレーで行われることはないでしょうね。今回の米大統領選だって、ドナルド・トランプ氏の女性問題、ヒラリー・クリントン氏のメール問題など、スキャンダル合戦が花を咲かせています。そんな、大統領選のダークな部分を描いた作品が、『スーパー・チューズデー 正義を売った日』です。

キャンペーン、マスコミ対応、根回しなどなど、実際の選挙の裏側を描きつつ、まさに今回の米大統領選でぼくたちが見てきた、刻一刻と選挙情勢が変化するとともに、いつ裏切られるかもわからない、だれが敵で味方かもわからない、スリリングなストーリー展開に注目です。

 

ロビン・ウィリアムズのもしも私が大統領だったら…

 

トークショーの司会者であるトム・ドブスは、辛口な政治ネタで視聴者の人気を得ていた。そんな彼がひょんなことから、次期大統領選挙に出馬することになる。

コメディアンが不正選挙により大統領に就任する直前までを描いた作品。
前半は電子投票システム(ネット投票)への批判、皮肉ともとれるコメディが展開されますが、後半からは企業の陰謀を暴くサスペンス。ちょっとバランスの悪さはあるけど、ホロッとする感動的なラストが待っています。

 

エンド・オブ・ホワイトハウス

 

シークレット・サービスとして大統領の護衛にあたるも、大統領夫人の命を守ることができなかったマイケル(ジェラルド・バトラー)。それから2年後、彼はホワイトハウス周辺を担当する警備員となっていた。そんな中、独立記念日を迎えたホワイトハウスをアジア人のテロリスト・グループが占拠し、大統領の解放と引き換えに日本海域からの米海軍撤収と核爆弾作動コード開示を要求する。

大統領が決まるその日にホワイトハウスを終わらせちゃう映画を紹介するのもなんですが...最近公開された映画ということでご紹介。

某アジアの国(日本の隣)が、ホワイトハウスをものの数分で(選挙なだけに)占拠してしまい、戦場と化したホワイトハウスは死屍累々。「ダイ・ハード」よろしく孤軍奮闘する主人公が描かれますが、ブルース・ウィリスのジョン・マクレーンほどキャラが立っているわけじゃないし、とにかく無双状態でリアリティのかけらもないので、ポップコーンでも食べながら観ていただきたい作品です。

 

ホワイトハウス・ダウン

 

大統領ジェームズ・ソイヤー(ジェイミー・フォックス)を警護するシークレットサービスを目指すも、不採用となってしまった議会警察官のジョン・ケイル(チャニング・テイタム)。不採用だったことで幼い娘を悲しませたくないと、気晴らしも兼ねて彼女を連れてホワイトハウスの見学ツアーに参加する。だが、そこへ謎の武装グループが乗り込み、瞬く間にホワイトハウスを制圧した上に大統領とケイルの娘らを人質にして籠城。未曽有の事態に全世界が混乱する中、ケイルは武装グループに挑む。

典型的な巻き込まれ型映画。こちらも「ダイ・ハード」的に主人公が孤軍奮闘する姿が描かれますが、「敵の無敵感」、「とつぜん混ぜ込んでくる親子の愛」、「そこから安直に正義軍が逆転する展開」と、随所に「そんなわけあるかい!」とツッコミを入れたくなるのは、さすが『インディペンデンス・デイ』のローランド・エメリッヒ。難しいことは考えないで、スカッとしたいときにどうぞ。

 

エアフォース・ワン

 

アメリカとロシアの協力によってカザフスタンの独裁者ラデクがついに逮捕された。命令を下した合衆国大統領マーシャルは、モスクワでの会見でテロには決して屈しないことを宣言し大統領専用機(エアフォース・ワン)で帰途についた。だが、その機内にはロシアのTVクルーを装っていた6人のテロリストが潜入していた。

闘う大統領の映画といえば、これ。一刻の大統領として、父として、あまりに理想化されているのが気になるところではあります。まあ、そもそも安易に大統領機にテロリストの侵入を許してどうする。でも、細かいツッコミどころはスルーして、リラックスして観ましょう。政治がテーマの映画というより、マッチョ系のアクション映画ですので。

 

インディペンデンス・デイ

 

7月2日。何の前触れも無く世界中の上空に姿を現した直径24キロに及ぶ巨大UFO。混乱の中、元戦闘機のパイロットであるアメリカ大統領ホイットモア率いるアメリカ・サイドは、交流を求めるためUFOとの交信を試みる。が、UFOからの容赦ない攻撃が開始され……。

ホイットモア大統領の「今日こそが、我々人類の、独立記念日なのだ。」という演説が有名ですね。

当時中学生だったぼくは、地上波のロードショーで初めてこの作品をみたわけですが、「とにかくスケールがでかいのは良いこと」を盲目的に信じていたので、「すげー!やべー!」と思って観てました。大人になって改めて観てみると、ツッコミが追いつかないレベル。でも、20年前に圧倒的なビジュアルで宇宙大戦争をやってのけたことはすごい。

 

インデペンデンス・デイ リサージェンス

 

2016年7月、そんな人類を試すようにアメリカ全土を覆うほどの大きさを誇るエイリアンの宇宙船が出現。彼らは重力を自在に操る圧倒的な科学力で、ニューヨーク、ロンドン、パリといった都市を次々と襲撃する。猛攻撃は止むことなく続き、人類存続の要であった防衛システムも無力化してしまう。

「前作の規模をさらに上回り、エイリアンが再び地球に攻めてくる!」って、なぜ今になって続編を?という今さら感が半端じゃないです。さすがに野菜マシマシこってりラーメンを、野菜マシマシマシマシこってりラーメンにしたって胸焼けを起こすだけじゃないかな~と。

ツッコミどころのボリュームも前作よりアップしてるので、大勢でワイワイ観るのに向いてる作品ですね。

 

26世紀青年

 

極秘実験で一時的な冬眠状態にされるも手違いで500年後に覚醒した男が、国全体がおバカになっている有様に驚愕しながらその改善へ奔走する姿を描いたSFコメディ。

明らかに『21世紀少年』をパクったタイトルですが、バカを真面目にやっている分、こちらの作品の方が個人的におすすめ。全編とおしてくだらないですが、ちょっと「これって下手すりゃ起こりうる未来だよな」と思わせるところもあります。

まず、500年後のアメリカ大統領が格闘技世界チャンピオンで元ポルノスターというのがぶっ飛んでるけど、知名度重視のポピュリズムが進行していけばありえない話じゃない。この世界では健康に良いとされる「ゲータレード」がバカ売れし、食物にもゲータレードを与えた結果、食糧不足に陥ったという設定になっていますが、これも盲目的に報道を信じる人間の愚かさを皮肉っている。

バカでありえない未来図を描くことで、その未来に近づきつつある現代を、痛烈に批判している映画です。

 

邦画の政治映画から+2作品

アメリカ大統領選は8年に1度のお祭りですが、日本ではわりと頻繁に国政選挙をやっているせいか、イベントごとみたいな認識はないですよね。むしろ、イベントとして捉えることを「不謹慎」と批判する層もあるみたいですし...。テレ東の選挙特番、観てくれよ。

まあ、そういった背景もあるのか、日本の選挙を描いたり、為政者が活躍したりする作品は少ないんですが、そのなかでもとりわけオススメの作品を2つご紹介。

 

選挙

 

2005年秋、東京で切手コイン商を営む「山さん」こと山内和彦は、市議会議員の補欠選挙に自民党公認候補として出馬することになった。政治は全くの素人である彼の選挙区は、縁もゆかりもない川崎市宮前区。「電柱にもおじぎ」を合言葉に、小泉首相(当時)や自民党大物議員、地元自民党応援団総出の過酷なドブ板選挙が始まった。

地方選挙ですが、「知られざる日本の選挙の裏側」を描いた数少ない作品。音楽やナレーションもない「観察映画」なので、ホームビデオ的でただただ選挙活動をする山さんが映し出されるだけですが、じつに面白い。「選挙ってこれでいいのか?」「こんな人たちに税金払ってんの?」みたいに、モヤモヤしたものが次々と頭に浮かんできます。
こういう意欲的な作品がインディーズからしかでてこないのはちょっと残念ですけどね。

 

シン・ゴジラ

 

東京湾アクアトンネルが崩落する事故が発生。首相官邸での緊急会議で内閣官房副長官・矢口蘭堂(長谷川博己)が、海中に潜む謎の生物が事故を起こした可能性を指摘する。その後、海上に巨大不明生物が出現。さらには鎌倉に上陸し、街を破壊しながら突進していく。

多くを語る必要がない作品ですね。前半の、滑稽だけどリアルな政治劇、後半の「こんな日本だったらいいな」的な、プロジェクトX的な、ドキュメンタリー。これも見る角度によっては政治コメディであり、為政者、官僚が活躍する作品のひとつに数えられるでしょう。「解散風」が噂される2016年の暮れですが、次の国政選挙前にもう一度観ておきたい作品です。

 

というわけで、まとめ。

多くの日本人が固唾を呑んで見守った大統領選、フタを開けてみれば、非常にセンセーショナルな結果となりましたね。

おそらく、ハリウッドではオバマ大統領(もうすぐ前大統領)の執政を総括する映画が作られていることでしょう。ブッシュ大統領のときもそうでしたから。

日本の映画でもそういった作品がメジャーでつくられるような雰囲気が出ると、もっと政治に関心を持つ層が広がるとは思うんですけど。