良い知らせと悪い知らせがある

良い知らせと悪い知らせがある

本当に良い映画も、良くない映画もレビューします。

これは古代中国版の『パシフィック・リム』だ。映画『グレートウォール』の感想、レビュー。

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筆者の厳選記事5選

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こんにちは、もとむらはじめ(@motomurahajime)です。

先週は日曜日に鑑賞した『バーフバリ 伝説誕生』の興奮冷めやまぬままにレビュー記事をアップしまして、実はこちらのレビュー記事がまだでした。

今回は先週から公開されている『グレートウォール』を取り上げます。

マット・デイモンがあーだこーだでアカデミー賞を逃した件はよく知らないのですが...

中国資本に買収されたレジェンダリー・ピクチャーズが、いよいよ本格的に中国を舞台にした映画を制作したということで、変な注目と期待をしております。

それでは、レビューへとまいりましょう。

 

映画『グレートウォール』

youtu.be

映画『グレートウォール』公式サイト 2017年4月14日(金)公開

【原題】The Great Wall / 長城 / 长城

【日本での公開】2017年4月14日

【上映時間】103分

【監督】チャン・イーモウ

【脚本】カルロ・バーナード、ダグ・ミロ、トニー・ギルロイ

【出演】マット・デイモン、ジン・ティエン、アンディ・ラウ

【あらすじ】世界を旅するウィリアム(マット・デイモン)ら二十数名の傭兵部隊は、シルクロードの中国国境付近で馬賊に攻撃された上に謎の獣に襲われる。生き残ったウィリアムとトバール(ペドロ・パスカル)は、禁軍が守る万里の長城にたどり着くものの降伏を余儀なくされる。戦略を担うワン(アンディ・ラウ)によって処刑を免れたのち、自分たちを襲った獣が饕餮(とうてつ)という怪物であり、万里の長城がその群れを都に入れないための防壁だと知るウィリアムとトバール。やがてすさまじい地響きと共に無数の獣が迫ってきた。(シネマトゥデイ)

映画.comの評価平均点 3.4 点 / 評価:57件

Yahoo!映画の評価平均点 3.65 点 / 評価:321件

Filmarksの評価平均点 3.5点

僕の評価は100点中 55点

 

ざっくりとした感想は...

古代兵器vs地底怪獣... これは古代中国が舞台の『パシフィック・リム』かな?

映画全体の雰囲気としては、形は違えどレジェンダリー・ピクチャーズが誇る名作『パシフィック・リム』に近いものがありました。

その『パシフィック・リム』を、よもや古代中国の万里の長城を舞台にやるとは...なんとも無茶苦茶な設定。

キャッチコピーの「誇り高き仲間を信じて、”伝説”に立ち向かえ」って、制作陣に送られた言葉なのかなあと邪推した次第です。

 

もしも古代中国の禁軍が怪物と戦ったら...

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『グレートウォール』の舞台である万里の長城は、北方の異民族が侵攻してくるのを迎撃するために建造された人工壁です。

秦代の紀元前221年にひとまず完成した古代の城壁ということで、当時の万里の長城にまつわる物語は、史実と伝説が渾然一体となっているわけですね。

そこで立ち上がった企画が「もしも万里の長城が人間以外のモンスターと戦うために建造されたものだったら」という、なんとも無茶苦茶なもの。

まあ確かに、「史実と伝説が渾然一体」となっているわけですから、そんな無茶苦茶な設定だって、味付け次第では極上の映画になる可能性はある。

僕自身、こういった人間の軍隊が人外の軍隊と戦う映画って大好物でしてね。

『インディペンデンス・デイ』『バトルシップ』などは、現代の人間の軍隊vsインベーダーの代表作と言えるでしょう。

さらには、軍隊ではないですが、平安時代にもののけの類と戦っていたという設定の、野村萬斎主演『陰陽師』という名作もありますね(あれは野村萬斎の魅力が大半ですが)。

そこに少しだけ期待して観に行ったわけですが...実際の出来は果たして。

 

トンデモ兵器のオンパレードは楽しい

ツッコミどころはもちろん多いし、ツッコミどころにいちいちツッコミたくなるタイプの映画です。でも、トンデモ兵器のオンパレードはぜひ観てほしい。

『マッドマックス』のドーフ・ワゴンを彷彿とさせる、戦意高揚の「ヌンチャク太鼓」ドコドコでテンションブチ上がる!

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コスパ悪すぎ!60年前の反省は活かされなかったか!?『進撃の巨人』の立体機動装置ばりの鶴軍スーサイドアタック!

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その他にも、カタパルト火炎弾とかオオバサミ(個人的にお気に入り)とか、もっと効果的な使いみちあるだろうと思える気球だとか、とりあえずトンデモ兵器のオンパレードは見た目にも楽しかったですね。

さすがレジェンダリー制作というべきか、『HERO』のチャン・イーモウ力(『初恋のきた道』のチャン・イーモウではない)と言うべきか...力業で押し切る感じは実にお見事。

そこは確かに面白かった!

でもそれは、やっぱりビジュアル面の面白さだけだったんですよね。ビジュアル以外の部分では、どうしても中途半端で。

とくに軍事面では、まったくの軍事弱者の僕でもツッコミを入れざるを得ませんでしたね。

たとえば、いくらジン・ティエン演じるリン・メイ隊長の凛とした佇まいが魅力的とはいえ、「あんな小娘をいきなり将軍にするのはどうなの?」と。

軍師であるアンディ・ラウが人員不足であったとはいえ、最終戦の禁城に出向くなんて、もう作戦放棄したようなもんじゃないですか。

せっかくトンデモ兵器で沸かせてくれた前半から打って変わって、中盤からは「戦争でそれやっちゃダメでしょ」ってツッコミの連続。

一方では「いや、なんでもアリなんだからこれでいいのだ」という葛藤を心のなかで繰り返しながら観ていました。無粋とわかっていても。

とまあ、中盤から終盤にかけてのドラマパートは、やや退屈なのとツッコミの連続とで、やっぱり停滞気味な感じは否めませんでした。

惜しかったのは、せっかく『グレートウォール』ってタイトルなんだから、最終戦も万里の長城でド派手にやってほしかったというところです。個人的に、ここのマイナスは大きい。

 

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決着の付け方に不満が残る

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『グレートウォール』ってタイトルに反して、饕餮の女王(ラスボス)の倒し方がこぢんまりしてましてね。僕は不満が残りました。

「まさかの」というか「そこに落ち着いたか」というか... 「蟻の一穴」タイプ。

これはねえ... まあ終わり方の定番ではあるけれども、地味なんですよね。『パシフィック・リム』もクライマックスはそんな感じだったような?

せっかく大軍同士がぶつかり合う戦争映画なんだから、『バトルシップ』ばりの「秘密兵器登場からの爆撃機で締め」か、『ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還』の「亡霊騎士団まさかの参戦」のような、否応なしにテンションブチ上がる展開が良かったなあとは思います。

いわゆる「騎兵隊締め」ってやつですね。

僕は、長城から脱走したトバール(ペドロ・パスカル)が馬賊に襲われそうになるくだりは、「これはトバールが馬賊を引き連れて長城に援軍として戻ってくる展開なのでは!?」と期待したくらい。

中国版「騎兵隊締め」が観られたら、僕の点数は80点くらいになってたと思います。

というわけで、まとめ

あとはまあ...

中国の映画って「ここは俺に任せて先に行けーっ!」な展開が鉄板ですが、本作にもその展開が何度かありましてね。

「ああ、またか」という既視感アリアリ、ビジュアル重視の功罪なのか「エモさ」がくどい感じでしたね、本作に関しては。

ジャンル違いますが『孫文の義士団』とか『新少林寺』なんかを思い出しました。あれはなかなか良い「ここ行け」なんですが。

アンディ・ラウとジャッキー・チェン夢の共演『新少林寺』。

 

『ローグ・ワン』も「ここ行け」映画。

 

 

...それは良いとして。

レジェンダリーが中国資本に買収されて、やれ中国寄りだプロパガンダ映画だと、批判されることも多くなるかもしれません。

でもまあ、せっかく米中合作で映画を制作していくんだったら、ハリウッドとのハイブリッドな映画を世に出していってほしいですね。

前回の記事に書いた、同じアジア映画で歴史戦争モノを描いた『バーフバリ 伝説誕生』もですけど、アジアの映画市場が活気づいてくるのは良いことです。

今後もインド、中国、東南アジア諸国、そして日本の映画に注目していきたいですね(『グレートウォール』の記事にしては無難な締め方)。

 

これは...ちょっと欲しいぞ。

 

 

魔改造して要塞化しよう。

 

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