看板に偽りなし!ただの最高すぎる怪獣映画!!『キングコング 髑髏島の巨神』の感想、レビュー。
こんにちは、もとむらはじめ(@motomurahajime)です。
公開から1週間経って、ようやく観ることがかないました...
本日観てきた映画は『キングコング 髑髏島の巨神』です。
やれ『地獄の黙示録』のオマージュっぽいだの、やれ「人を殺すのが得意なフレンズしかいない『けものフレンズ』」だの。Twitter上では情報が錯綜して、いったいどんな映画なんだとワクワクが止まらなかったわけですが、鑑賞した今ではどれも「なるほど」と言える境地に立つことができました。
いやまあ、まだ鑑賞されていない方は何を言っているのかわからないかもしれませんが、そんな映画です。
圧倒されました!!
それでは、レビューへとまいりましょう。
映画『キングコング 髑髏島の巨神』
【原題】Kong: Skull Island
【日本での公開】2017年3月25日
【上映時間】118分
【監督】ジョーダン・ヴォート=ロバーツ
【脚本】ダン・ギルロイ、マックス・ボレンスタイン
【出演】トム・ヒドルストン、サミュエル・L・ジャクソン、ジョン・グッドマン、ブリー・ラーソン
【あらすじ】コンラッド(トム・ヒドルストン)率いる調査遠征隊が、未知の生物を探すべく、神話上の存在とされてきた謎の島に潜入する。しかし、その島は人間が足を踏み入れるべきではない“髑髏島”だった。島には骸骨が散乱しており、さらに岩壁には巨大な手の形をした血の跡を目撃する。そして彼らの前に、神なる存在であるキングコングが出現。人間は、凶暴なキングコングに立ち向かうすべがなく……。(シネマトゥデイ)
映画.comの評価平均点 3.5 点 / 評価:81件
Yahoo!映画の評価平均点 4.01 点 / 評価:925件
Filmarksの評価平均点 3.9点
僕の評価は100点中 80点
ざっくりとした感想は...
日本の怪獣映画の歴史に一石を投じた『シン・ゴジラ』とは真逆も真逆。まさに「ただの怪獣映画ではない」ではなく、本当に、純粋に「ただの最高すぎる怪獣映画」でした。
終始「ひたすら怪獣が出てきて大暴れするだけで、こんな傑作が出来上がるのか!!」と驚嘆するばかり。
怪獣だらけのプロレス!純粋培養の怪獣映画!
これまでの怪獣映画とえいば「面白いんだけど、フラストレーションが溜まる」という部分が少なからずあったと思うんですよ。
例えば、
- 怪獣が登場するまで焦らされる
- 怪獣の戦いより人間ドラマに上映時間の大半が割かれる
- 何の伏線もなく怪獣が覚醒するなり変形するなりで途端に強くなる
みたいに。では、今回の『キングコング』はどうかというと...
- 開始1分ですぐに怪獣が登場する
- 人間ドラマのパートが必要最小限(けど薄っぺらじゃない)
- コングは最初から最後まで純粋に強い
という、最高すぎる作りになっています。
比較対象にするのはおこがましいかもしれませんが、昨年の『シン・ゴジラ』は、ゴジラが戦争や災害のメタファーだったり、映画じたいが現代ニッポンの風刺だったり、「ただの怪獣映画じゃない」部分が注目されていましたよね。
異端だがゴジラ映画の最高傑作『シン・ゴジラ』
対して『キングコング』は、もう純粋培養の怪獣映画でした。怪獣に象徴を背負わせず、ひたすらデカくて粗暴で大迫力の怪獣たちが、己の拳で、牙で、尻尾で、ガチンコで殴り合うストロングスタイル。
まさにキャッチコピー通り「人間など虫けら」扱い。初代ゴジラや金子修介監督の「GMKゴジラ」で描かれたように、怪獣に踏み潰され、引きちぎられ、蹂躙されるだけの存在。純粋培養の怪獣映画はこうでないと!
想像以上にエグいシーンも多く、残虐シーンを十二分に堪能させていただきました。まさに怪獣だらけの死亡遊戯。面白くないわけがないでしょ!
もちろん、舞台がベトナム戦争真っ只中の冷戦時代ということで、人間対怪獣の構図にベトナム戦争の面影が見えなくもないですが、それが怪獣バトルのノイズにならない程度に抑えられてます。
この純度の高い怪獣同士のプロレスは、TV版『ウルトラマン』第8話「怪獣無法地帯」のイメージに近い印象を受けました。
そういえば、コングの最大の敵「スカルクローラー」の頭部の造形が、ウルトラ怪獣のレッドキングに似てるような...
映画評論家の町山智浩さんも、その点に言及されています。「髑髏島は、ウルトラマンでいうところの多々良島である」と。
こちらはまだ鑑賞されていない方にもおすすめの、町山さんの解説動画ですので、ぜひご視聴を。
まあとにかく、次から次に登場する怪獣をなぎ倒していくコングを見ているだけで、感動すら覚えます。怪獣のプロレスだけで観客を魅了するって、これこそまさに「ただの怪獣映画(最上級の褒め言葉)」ですよ。
他にも東宝の怪獣映画でおなじみ?の巨大ダコが登場したり、巨大な満月をバックに登場するコングだったり、監督の日本の特撮やアニメへの愛情がひしひしと伝わってくる作品でありました。
人間ドラマも雑じゃない!
先ほど人間ドラマが必要最小限に抑えられていると書きましたが、それが決して「おまけ程度」でないところがまた素晴らしい。
どうしても怪獣映画における人間ドラマのパートって、登場人物どうしの恋愛関係だったり、確執だったりが「描かれてないといけない」という呪縛にとらわれがちですよね。
とくに日本の特撮映画には顕著で、それをあえてやらずに成功したのが『シン・ゴジラ』でもありました。
では『キングコング』はというと...限られた時間のなかで、サミュエルL・ジャクソンに、トム・ヒドルストンに、ブリー・ラーソンに、ちゃんと役割どおりの仕事をさせています。
サミュエルはちゃんと戦争狂いの軍人でマザファッカで、トムヒはいつでも頼りになるナイスガイで、ブリーはやっぱりコングと心を通わせる美女的な立ち位置になっています。時間が限られているからこそ、無駄がないし、かといって薄っぺらくないんですよね。
若干、サミュエルが演じたプレストン大佐が、大佐という階級の割に向こう見ずで無責任すぎた(悪く言えば単細胞のバカ)のが気になりましたが、まあ映画全体の完成度で見たら些細な事です。
まあでも、ラストの「とある人物」のその後のエピソードなんかは、1~2分のわずかな時間なのに、映画じたいのハッピーエンドだけでなく、ベトナム戦争という時代を意識したラストになっているところも実に見事。
あのシーンひとつでグッと映画全体のクオリティーが高くなっています。
『キングコング』の北米版ポスターは『地獄の黙示録』にインスパイアされたらしい
レジェンダリーがやったんなら東宝だって
物語の舞台がベトナム戦争真っ只中の1973年ということで、怪獣同士のぶん殴り合いバトルも見ものですが、「ベトナム戦争当時の兵器が怪獣に通用するのか」という、”人類の最新兵器(1973年当時)vs 怪獣”の、ミリタリー視点からのバトルも楽しめます。
『シン・ゴジラ』では、自衛隊の最新兵器がまったく歯が立たないという描写がありましたが... 『キングコング』ではどうなるのか... というのは映画本編でご確認を。
さて、『キングコング』を制作したレジェンダリー・ピクチャーズは、ベトナム戦争時のアメリカ軍vs怪獣というドリームマッチを実現させたわけですが、この後にはマット・デイモン主演の『グレートウォール』も控えています。
映画『グレートウォール』は「万里の長城は、実は60年に一度襲ってくる地底人?に対抗するために人類が建造した」というトンデモ設定が売りとなっています。こちらは古代中国の軍隊vs地底人というドリームマッチ。
この「現実vs虚構」のドリームマッチを次々と実現させているレジェンダリー・ピクチャーズ。日本の東宝も『シン・ゴジラ』でそれをやってのけたんだから、東宝が送るドリームマッチ第二弾にも、否が応でも期待してしまいます。
僕が個人的に観たいのは、帝国海軍連合艦隊の戦いです。
1904年の日露戦争において、当時世界最強と言われたロシアのバルチック艦隊を破った連合艦隊。もし、連合艦隊が本当に戦ったのが、バルチック艦隊ではなく怪獣(海獣)だったら...
『連合艦隊vsゴジラ』とか、超面白そうじゃないですか?
ゴジラがダメなら、東宝のお家芸?である連合艦隊vs巨大ダコでもいいよ!
というわけで、まとめ
そんなわけで、期待以上だった『キングコング 髑髏島の巨神』。予告編のどれもが思わせぶりじゃないし、予告以上に素晴らしいレスポンスが本編から返ってきます。
さらに、エンドロール後にはとんでもない「次回作への布石」映像が流れますので、最後まで席は立たないように!
個人的には「風呂敷広げすぎじゃない?大丈夫!?」と、要らぬ心配をしてしまうほどですが、まあ『キングコング』の完成度を見る限り、そんな心配は杞憂と終わるでしょう。
2020年の『コングvsゴジラ』を楽しみに待ちつつ、『キングコング 髑髏島の巨神』を未鑑賞の方は、ぜひ劇場の大画面で。
ド迫力の怪獣ブン殴り合いバトルをご堪能いただきたい!!
2020年まで待てない!『GODZILLA』
見比べてみると面白いかも『キングコング対ゴジラ』