あえて『ラ・ラ・ランド』に背を向けて... 映画『トリプルX:再起動』の感想、レビュー
こんにちは、もとむらはじめ(@motomurahajime)です。
いよいよ公開となりましたね!アカデミー賞効果で大大大注目の映画『ラ・ラ・ランド』。僕も楽しみにしていた映画のひとつですが、もう予約合戦が激しくて... 鑑賞を断念。
僕の行きつけの映画館「立川シネマシティ」では、金曜の真っ昼間にもかかわらず、ほぼ満席でしたよ。土日も客足が途絶えることなくほぼ札止め状態ですたから。
改めて、宣伝効果ってすごいですね。去年のアカデミー賞作品賞、おぼえてます?
『スポットライト 世紀のスクープ』ですよ。僕はけっこう好きな作品。
まあ、『ラ・ラ・ランド』はあの『タイタニック』に並ぶアカデミー賞最多ノミネートですから、『タイタニック』公開時の熱狂を考えると、札止めが続くのも理解できますけどね。
そんな大ヒット映画『ラ・ラ・ランド』に背を向けて僕が鑑賞してきた映画は、まさに真逆にベクトルが突き抜けていると言っても過言ではない、ヴィン・ディーゼル主演で12年ぶりに続編公開となった『トリプルX:再起動』でございます。
もちろんお目当てはドニー・イェン&トニー・ジャーというアジアのアクションスター共演ですけど。
それでは、レビューへとまいりましょう。
映画『トリプルX:再起動』
【原題】xXx: The Return of Xander Cage
【公開】2017年1月20日/アメリカ
【上映時間】107分
【監督】D・J・カルーソー
【脚本】F・スコット・フレイジャー
【出演】ヴィン・ディーゼル、ドニー・イェン、ディーピカー・パードゥコーンルビー・ローズ、トニー・ジャー
【あらすじ】エクストリームスポーツのカリスマにして、腕利きシークレットエージェントとしても名をはせたザンダー・ケイジ(ヴィン・ディーゼル)に再びNSA(国家安全保障局)から声が掛かる。今回の彼の任務は、危険な敵の手に渡ってしまった世界中の軍事衛星装置を奪還すること。ザンダーはNSAがそろえた精鋭部隊を一蹴し、新たにチーム“トリプルX”を編成する。(シネマトゥデイ)
映画.comの評価平均点 3.8 点 / 評価:8件
Yahoo!映画の評価平均点 3.20 点 / 評価:41件
Filmarksの評価平均点 3.8点 / 評価:137票
僕の評価は100点中 75点
僕のざっくりとした感想は...
アジアのアクションスターの共演あり、スペシャルゲストの登場あり、セルフパロディあり、超大作のパロディあり、ついでにおねーちゃんの裸あり!
まさにね、足し算足し算足し算で突き抜けたハイカロリーアクションエンターテイメントでしたよ。
『トリプルX』シリーズと『ワイルド・スピード』シリーズ
映画レビューアプリ「フィルマークス」に寄せられている本作のレビューに、「まるで『ワイルド・スピード』みたいなお決まりの展開だったけど、十分楽しめた」という声が複数ありました。
1作目の主演と監督が同じなんだからそりゃそうだと思いつつ、実は僕ですね... ヴィン・ディーゼル主演作ってほっとんど観てこなくて。それこそ人気シリーズである「ワイスピ」も2作めくらいでギブアップしましたし、『トリプルX』シリーズにしたって、1作めを地上波の放送かなんかでチラッと観た記憶しかありません。
僕の個人的な感想ですが、なぜかヴィン・ディーゼルという俳優さんにグッとくるものがないのですよ。彼が声を担当している『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のグルートは好きなキャラなんですがね。
ヴィン・ディーゼルが声を担当したグルート。"I am Groot."としかしゃべらない。
そんなわけで、『ラ・ラ・ランド』が観られなかったから惰性で観ることにした『トリプルX:再起動』なわけですが、僕の大好きなドニー・イェン兄貴の活躍もあって、思っていた以上に楽しめました。かの名作『エクスペンダブルズ』シリーズ以来でしょうか、アクションだけでお腹いっぱいになった映画は。
久しぶりに見たヴィン・ディーゼルには、なぜかジャッキー・チェンのような「見ているだけで安心できる」オーラまであって...
本作はいちおう、1作目の『トリプルX』、2作目にして駄作との呼び声高い、超有名ラッパー・アイスキューブ主演の『トリプルX ネクスト・レベル』の続編ではありますが、僕のように前作を鑑賞していない方でも十分に楽しめますよ。
筋肉、裸、アクション、爆発...の足し算
スケールがデカ過ぎてシッチャカメッチャカになってる映画を「足し算映画」なんて揶揄(やゆ)する言葉がありますが(例えば『トランスフォーマー』)、これが突き抜け過ぎると逆に気持ちよくなっちゃうもので。
ざっくりあらすじをお話すると、ヴィン・ディーゼル演じる伝説のスパイ、ザンダー・ケイジが、世界中の軍事衛星をコントロールできる”パンドラの箱”と呼ばれる危険な装置を悪の組織から奪取する...というお話です。
本筋じたいは非常に単純かつ明快...ですが。
それを土台として、先ほど書いたアジアのアクションスターの共演あり、スペシャルゲストの登場あり、セルフパロディあり、超大作のパロディあり、ついでにおねーちゃんの裸あり...の足し算、足し算を繰り返していった結果できあがった作品が、この『トリプルX:再起動』。
これ観ちゃったらもう、「アメリカ映画って、とにかく予算ぶっこんだらこんな映画ができるんだ」と、むしろ清々しく思うこと必至ですよ。
まず見どころは、何と言ってもオープニング。「あれっ、いきなりエンドクレジットが始まったぞ...」という映像から始まるわけです。しかもそれがあの超大作のエンドクレジットのパロディー。
その「超大作」のエンドクレジットがこちら。
案の定、オープニング明けてすぐに登場するのが、サミュエルL・ジャクソンふんするニック・フューリ... ならぬ、ギボンズ。しかも、あのサッカー界のスーパースターであるネイマールが、ニック・フューリー率いるアベンジャーズに勧誘されているという体のパロディから。
このオープニグだけで、良くも悪くも、この作品を観る態度が決定するわけですね。「ああ、本作はこんな感じのテンションで観ればいいんだ」と。これ、いちおう『007』シリーズや『ミッション・インポッシブル』シリーズと同じ「スパイもの」なはずなんですが...
「こんなに一般人に溶け込まないスパイがいるか!」というツッコミは無粋というものですよ。
そこからは立て続けにアクション、おねーちゃんの裸、アクション、おねーちゃんの裸、アクション...のつるべうち。序盤からドニー・イェン兄貴の激烈にカッチョいいアクションと、タイの至宝(僕が勝手に命名)トニー・ジャーのエクストリームなアクションが楽しめます。
ドニー兄貴のアクションはそこだけ早送りなんじゃないかってレベルでとにかく「速い」
『SPECIAL ID』より
中盤はじゃっかん中だるみするものの、それは単に、これまで連続してきたアクションとおねーちゃんの裸が薄口になったくらいなので、良い感じに箸休めができるんじゃないかと思いますけどね。
さらに、中盤からラストにかけてのドンパチアクション。殴る蹴るはもちろん、昭和の戦隊モノもびっくりの爆発、爆発、可愛いおねえちゃんを挟んで、また大爆発。
終いにゃ駄作との呼び声高い(しつこい)『トリプルX ネクスト・レベル』の主人公であるアイスキューブが助っ人として登場し、自虐ネタっぽいセルフパロディーまでかましてくれます。
一発で10人の兵士を屠る武器を携えて、俺らのアイスキューブが推して参る!
そして迎える大団円... 大筋のストーリーなんかは結局1ミリも頭に入ってませんが、ここまで「アクションでお話を強引に進めていくパワー」は清々しいものすらありましたね。
ラストはタイトルに「再起動」と冠しているように、続編がありそうな終わり方。リブートの1発めからこんなにアクションとおねーちゃんの裸をてんこ盛りにして、さらに続編でインフレさせたらどんな事態になるのか...
『ラ・ラ・ランド』とは真逆のベクトルに突き抜けた本作、堪能させていただきました。
というわけで、まとめ。
『トリプルX:再起動』を観に来たお客さんの6割くらいが、「『ラ・ラ・ランド』が満席で観られなかったから、仕方なく…」なのかもしれません笑
まあそれでも、アカデミー賞で沸くこの時期に、こういうバカを真面目にやってる映画(褒め言葉)の存在って、一服の清涼剤...というか、ギットギトでこってりな濃厚ラーメン的な味付けの作品ではありますが、非常に貴重な存在だと思いますよ。
iMAX3D、4DXではさらに真価を発揮する映画だと思います。ぜひ劇場で。
シリーズの復習はこちらで。