良い知らせと悪い知らせがある

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本当に良い映画も、良くない映画もレビューします。

ライムスター宇多丸師匠の映画評論おすすめ神回10選+3本

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筆者の厳選記事5選

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photo by Alan Levine

TBSラジオ『ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル』というラジオ番組をご存知でしょうか?

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ライムスターという日本語ヒップホップユニットのMCである宇多丸さん。一方で、大の映画好き、映画批評家という一面もお持ちで、「ウィークエンド・シャッフル」では、「週間映画時評シネマンディアス宇多丸のムービーウォッチメン」という映画批評コーナーで、毎週映画批評を放送されています。

今回の記事では、「ウィークエンド・シャッフル」のヘビーリスナーである筆者が、「ムービーウォッチメン」(以前は「ザ・シネマハスラー」というコーナー名)の中でもお気に入り&オススメ映画批評の神回を10選+3本、ご紹介します!

オススメ映画批評10選

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十三人の刺客

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ちゃんと大型活劇というのをちゃんと撮ってる。

おっおっ面白れえええ~!!

吾郎ちゃん演じる斉韶が近年映画でここまでって言うくらい本当に極悪

ぼくが初めて宇多丸さんのラジオを聴いて、初めて聴いた批評なので、強烈に印象に残ってしまいます。この映画を観てどこに興奮したのか、残念に思ったのか、それらを言語化し、批評するとはどういうものか、教えてもらった一本ですね。

「みなごろし」演出には震えたなあああ~

三池崇史監督作品の中ではバツグンに面白いのは間違いなし!来年は人気マンガの実写映画『無限の住人』の公開が控えていますが、三池崇史監督の時代劇なら期待できるかも?

 

バトルシップ

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やっぱアメリカの祭りはこうでねいとぉ!!

伏線も割りときっちり回収してる。

あの打ち上げのシーンに宇宙人混じってても良い

これぞ神回!決して絶賛というわけではありませんが、いやあ、「海上だんじり祭り」という表現は的確すぎます。寄せられたリスナーからのコメントも熱すぎる。楽しすぎてラジオ聴きながら「ふふっ」と笑ってしまいました。

あまりネタバレがないので、ぜひ聴いてみてください。観に行きたくなること間違いなし!

宇多丸さんの批評どおり、ストーリーのつじつまとか、バカが過ぎるとかそういうの関係なく、アガる映画というのは、それすなわち「映画的完成度の高い作品」と言えるのではないでしょうか。

 

桐島、部活やめるってよ

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絶賛の嵐!

キャラクターに関しては最高レベルで実在感を感じさせるような台詞であり演技であり演出がなされている。

とにかく青春時代とか若いということが何か甘酸っぱいとか懐かしいとかそういうポジティブなもんじゃねえってこと

おそらく宇多丸さんの映画批評の中では、シネマハスラー本編以外の動画も含めて、もっとも多く語られた作品ではないでしょうか。まさに大絶賛。リスナーさんの感想も、宇多丸さんの批評も、非常に熱量が高い。

ぼく自身もこの作品にやられちゃったひとりで、宇多丸さんの批評を繰り返し聴いて、何度もブルーレイを観なおしました。

ぼくの『桐島、部活やめるってよ』レビューはこちら。

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パシフィック・リム

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複数回観るのが当然と言わんばかりの異常事態。

ここまでやってもらって文句なっか言ったら、バチが当たるよ。

動くことそのものにカタルシスが生まれる。

「5回しか鑑賞してなくてごめんなさい」レベルの、怪獣映画ファン、ロボット映画ファン、SF映画ファン必見の作品です。ぼくも複数回観に行って、ブルーレイも買いました。リスナーから脅迫めいたリクエストが届くくらい、批評を熱望されていたので、宇多丸さんの解説にも熱が入っています。

つい最近、立川シネマシティで『パシフィック・リム』の極上爆音上映が鑑賞できたのは僥倖。

立川シネマシティで観たパシフィック・リムのレビュー記事です。

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イコライザー

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ナメてた相手に実は殺人マシーンの友だちがいましたムービー

ナメてた映画が実は傑作でした

あの食器を洗ってる背中だけで泣けてきちゃって泣けてきちゃって

映画も批評もじゃっかん玄人向け、人を選びます。が、面白い。

観た人は、「なぜこの作品が面白かったのか」を宇多丸さんが詳細に、愛を持って解説されているので、また観たくなること間違い無し!

ギンティ小林さんの超名言「ナメてた相手が殺人マシーンでしたモノ」を初めて耳にした批評でもあります。

 

マッドマックス 怒りのデスロード

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映画史更新レベルの一作にマジになってる。

超面白い映画5本分のアクション。

1カットあたりウン億点、単純計算で少なく見積もっても5千億点。

宇多丸さんが選ぶ2015年のシネマランキングでTOP1に輝いたのも納得です。文句なしにアガる作品であることは間違いない。宇多丸さんも時間内では語り足りなかったご様子。

当初は「絶対観たい」候補に入れていた作品ではなかったんですが、観に行って頭をぶん殴られた思いです。まさに映画史に残るレベルでやばい作品を観た。

この作品も、個人的に立川シネマシティの極上爆音上映で5回観たのはいい思い出。

詳しいレビューはこちらをどうぞ。

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クリード チャンプを継ぐ男

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先に断言させていただきますけど、事前の予想を遥かに超えて...ぼくこれ、ちょっとびっくりすくるくらいの大傑作だという風にぼくは思っています。

開幕数秒で、「あっ、これいい映画でしょ」っていう風に確信できる感じ。

もうねえ、目から失禁っていうか、ジョオオオオっていうね。

批評で目頭が熱くなったのは、後にも先にも、宇多丸さんのこの批評だけです。ぼくがどこに感動し、涙したのかを的確に言語化してくれています。何度も聴きたくなる名批評。

ファンの多い超人気シリーズなので、賛否が分かれるのは致し方ないのですが、これ本っっっ当にいい映画なんですよ。もう音楽が流れてきただけで涙腺が崩壊するレベルで。

『クリード チャンプを継ぐ男』ぼくの生涯ベスト級の1本です。

 

シン・ゴジラ

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昨今の日本映画の悪癖であるテンポの悪さとか、登場人物がやたらと感情的に叫ぶんだりとかそういうのを徹底的に排除したクールなつくり。

非常に恐ろしい美しさに半ば陶然としながら初めてこういう場面で悲しくて泣いちゃって

日本的インフラが反撃するっていう...この発想がフレッシュでアガる!

オタク的な一辺倒な絶賛にならず、また突き放して外野から批判するわけではなく、ちゃんと愛を持って批評されています。

ぼくも宇多丸さんが指摘されているところと同じシーンで「美しすぎてうっとり」しちゃいました。

コメント数がやばいです。笑 語りたくて仕方のない作品ですもんね。ぼくも劇場に6回観に行きましたし。ということは、『シン・ゴジラ』が傑作ということに他ならない。

 

君の名は。

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僕、劇場で見ていて、「うわ〜、画、すっげえな! まずアニメとしてすげえな! 日本型アニメのある意味ちょっと到達点だな、これ!」みたいに。好みとかはともかくとして。

現行トップランカーが集結して、技術的にはもう本当に最高クオリティーを達成している作品だと思います。

いろんな観客がそれぞれの「あ、見たことある。知ってる、知ってる」な好きな要素を入り口に楽しめるという、まあよくも悪くもイマドキのエンタメの潮流を感じさせなくもないという作り。

興行収入が100億円を超え、記録的大ヒット、大絶賛の作品ですが、やっぱりスルーしちゃいけない「ここちょっとおかしくない?」ってところもあって。そこをちゃんと指摘されてます。面白いところはバツグンに面白かったけど、「おや?」と思うところも批評してこそ、名批評だと思うのです。

もちろん、そんな短所をカバーするくらいパワーのある作品ですけどね。ぼくもやられちゃいましたし。

さすがに「すきだ」は、ズルい!泣くに決まってるだろ!!

 

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何者

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もうあの時代に引き戻さないでくれえ!と、久々に。

これこそまさにスクリーンに向かって、おい!人に向かって指をさすな!

決して万人に勧めやすい、わかりやすい面白さで満たされているわけではない。

就職活動が舞台となった映画ですが、「就活したことない」「自分ではSNSやっていない」とおっしゃる宇多丸さんも、「普遍的な話だ」「刺さった」と評されています。

青春を生きてきた人、いま生きている人、すべての人に観てほしい映画ですね。ぼくにとっても、『桐島、部活やめるってよ』レベルで語りたくなる作品のひとつ。

ムービーウォッチメンでは語りきれなかったということで、補足がこちら。

宇多丸 放課後駄話 映画「何者」 - YouTube

 

この世界の片隅に<NEW>

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5,000億点です!日本映画史に残る大傑作。

正直まいりました。すいやせんした!

のんさんはすずである。

リスナーさんからの感想メールが大量だったのはもちろん、約95%が大絶賛という異例な事態だったようです。

「いま平和公園になってるところって、あの時代は商店街だったんだ。人が暮らしていたんだ」という宇多丸さんの気付きは、ぼくもハッとさせられました。『この世界の片隅に』が如何に「生きている人たち」を描いていたかを気付かされる瞬間ですね。

宇多丸さんのおっしゃっているとおり、1回観ただけで全てを理解するのは不可能だし、何度も観かえして作品のディテールを味わう作品です。

まだ観てない人は劇場へ!

 

筆者のレビューはこちら

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ある意味、面白かった批評3選

STAND BY ME ドラえもん

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オチを安易に「帰ってきたドラえもん」にしてしまっていいのかっていう問題。

ジャイ子を暗い未来のシンボルとして扱っていいのか問題。

元の漫画を読めば絶対にそっちのほうがやっぱり良く出来てるしドラ泣きもできる

宇多丸さんの批評からは、ご本人がドラえもん大好きだからこそ、愛のある指摘が満載です。

ぼくはドラえもんの原作が大好きなんですが、まずこの映画の「ドラ泣き」という宣伝文句が気持ち悪いと思ったし、感動エピソードだけの詰め合わせに節操がないとも思いました。少なくとも、語りたいほど好きな実写映画ではありません。のび太が失敗したり、ブラックな笑いのあるエピソードがあってこそのドラえもんだろ!

ただ、フル3Dで描かれたキャラクターたちは「すげえ」の一言でしたけど。

Zアイランド

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まず、はっきり言えるのはですね、これ品川さんご自身で書かれている脚本。明らかにこれ、練り込み不足ですよね。

なにがしたいの?なにがしたいのかな、これ?っていう。

正直、残念ながら、期待外れでした。すごい期待外れでした。正直、品川さんの次回作への期待値も前より下がっちゃったぐらいですね。

じつはこれ、「ムービーウォッチメン」のコーナーで批評されたものではなく、オープニングのフリートーク部分で批評されたものです。というのも、宇多丸さんが『Zアイランド』を批評するに至った、ちょっとしたいざこざがありまして。

詳しくはこちらの書き起こし記事をご覧ください。

miyearnzzlabo.com

それで肝心の批評ですが、酷評につぐ酷評です。まあ、ちょっとしたいざこざの一件がなければ、また批評も違っていたのかもしれません。徹底的に品川祐氏の監督としての手腕に言及されています。

松本人志氏といい、品川祐氏といい、芸人さんが監督された映画とは食合せが悪いのかな?

HiGH&LOW THE MOVIE

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まあ「EXILEだんじり祭」ですよね。まあ、久々の「奇祭紛れ込み系」。いままででいちばん近いのは、やっぱり『バトルシップ』だと思いますけどもね。

はっきり言って僕、全編もうこんなに映画を見ている間中、爆笑しまくっていたことはない。もう涙を流して笑っていて。

とにかく、突っ込みどころがあるからこそ、単体の作品としてはダメダメなところが多いからこそ、ファンの参加意識が生まれる余地がある

酷評続きだとあんまりなので、個人的に楽しかった回を最後に。

サイリウム振ったり、声を出してもOKっていう応援上映を体験された宇多丸さん。応援上映というコンテンツを中心に語られています。

とはいえ、ファンの人からも、ファンじゃない人からも叩かれるほど、「触れちゃいけない」感のある映画なんですよね、これ。YouTubeにアップされた動画のコメント欄が荒れてるのも特徴です。ただ、批判するなら批判するでちゃんと理由がほしいところではありますけど。

リスナーさんもおっしゃっているとおり、ムチャクチャだけどドラッグ的な中毒性のある映画でした。笑 ぼくもハマっちゃってドラマの1話から観なおしましたし。

 

というわけで、まとめ。

いかがでしたか?

今回のチョイスはぼくの好みが9割以上反映されています。

「普段あんまりラジオを聴かない、映画批評は見ない」という方でも楽しめる回を厳選したつもりです。

これをきっかけに、宇多丸さんのラジオ番組を聴いたり、ぼくのレビューを読んでいただけたりする方が増えると、とても嬉しい限りです。

 

20161226 追記

筆者の2016年の公開映画TOP10が決定いたしました。詳しくはこちらから。

 

宇多丸師匠もウォッチした映画のレビューはこちら。

クリスマスのカップルにオススメしたい最恐の映画『ドント・ブリーズ』のレビュー

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『この世界の片隅に』能年玲奈(のん)の起用は間違っていない。「芸能人の吹き替え問題」について考える。

 

読み終えた方はこちらへ→映画レビュワー元村元って何者?

 

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