『ミニオンズ』のスタジオ最新作は、豪華声優キャストに注目!映画『SING/シング』の感想、レビュー
こんにちは、もとむらはじめ(@motomurahajime)です。
いよいよ春休みも間近ということで、人気アニメの劇場版や青春ラブコメなど、お子様から学生向けの映画が次々と上映されるシーズンとなりました。
そんな新作ラッシュのなか、本日僕が鑑賞してきた映画は『SING/シング』です。
『ミニオンズ』シリーズや『ペット』などで知られるイルミネーション・スタジオの最新作で、予告の時点でかなり興味があった一本。
初回の今日は字幕版で鑑賞してきましたよ。スカーレット・ヨハンソンら豪華声優キャストに注目が集まっていますが、果たして映画本編はどうだったのか...
それでは、レビューへとまいりましょう。
映画『SING/シング』
【原題】Sing
【日本での公開】2017年3月17日
【上映時間】108分
【監督】ガース・ジェニングス
【脚本】ガース・ジェニングス
【声の出演】マシュー・マコノヒー、リース・ウィザースプーン、セス・マクファーレン、スカーレット・ヨハンソン
【あらすじ】劇場を運営するコアラのバスター・ムーンは、以前は活気のあった劇場に輝きを取り戻すべく、世界最高の歌唱コンテストをプロデュースしようと考える。感傷的に歌うハツカネズミや、内気なゾウ、25匹も子供がいるブタ、パンクロッカーのヤマアラシらが会場に集結し……。(シネマトゥデイ)
映画.comの評価平均点 4.1 点 / 評価:20件
Yahoo!映画の評価平均点 4.03 点 / 評価:92件
Filmarksの評価平均点 3.9点
僕の評価は100点中 85点
イルミネーション・スタジオの作品って、あのノリが苦手だったんですよ。『ミニオンズ』とか『ペット』とかの、あのノリ。
でも『SING/シング』だけは違いましたね。予告の時点で「これは絶対おもしろい映画だ」という確信がありました。
鑑賞した結果...
その直感は、ハズレてなかった!
ついに出た!イルミネーション・スタジオ最高傑作!
イルミネーション版『ズートピア』?
”多種多様な動物たちが住む世界が舞台”で思い出されるのは、2016年のディズニーアニメ『ズートピア』でしょう。
ディズニーの力量を見せつけた『ズートピア』
『ズートピア』は現実のアメリカ社会を動物たちに投影した、どこか風刺的な映画で、その動物がその役割である必然性がありました。たとえば、対応が遅い免許センターに勤めているのはナマケモノ、みたいに。
一方『SING/シング』はというと、『ズートピア』ほどカッチリと動物の役割分担をしているわけでも、現実社会の風刺でもありません。言ってしまえば、その動物がその役割である必然性がない。コアラが支配人である必要もないし、ブタの代わりにイヌが踊ってもいい。
それよりも「見た目のわかりやすさ」を優先しているように見えましたね。「ブタが歌って踊ってりゃ面白いでしょ?」というノリもそうです。専業主婦のブタ・ロジータが家業に忙殺されていたり、ヤマアラシのアッシュがわかりやすく失恋したりといった登場人物たちに、わかりやすい抑圧や逆境を与えているのも、そう。『SING/シング』で優先されるべきは「誰が観ても面白い」という、わかりやすさ。
ですので、あまりに完成度の高い『ズートピア』と比べると、わかりやすいぶん深読みをする余地がないというか、まあ、これがイルミネーション・スタジオ作品に脈々と流れる?力技で持っていくお家芸なのでしょうか。
その点を”お子様向け”と批判的に捉えることはできそうですが、それが”子供だまし”になってないところはお見事。大人が観てもちゃんと楽しめる、それが『SING/シング』。
力技で何が悪い!クライマックスで100点満点
『SING/シング』の何が素晴らしいかっていうと、それぞれのキャラクターの歌唱力はもちろんなんですが、何を差し置いても”クライマックスのライブシーン”と、それまでの”伏線の張り方”ですね。
ところどころ蛇足に感じるシーンはあるにはあるんですよ。たとえば、序盤のオーディションの一部だったり、ゴリラのジョニーが運転の特訓をするシーンだったり。笑わせるためだけに、本編とは関係ないシーンを入れるところは『ミニオンズ』や『ペット』に顕著な、イルミネーション・スタジオの悪ノリが出ちゃってる感じ。
それでも、そういった蛇足的な部分も帳消しにするほど、クライマックスのライブシーンには持っていかれました。「やったぜー!ブラボー!!」と心の中で叫んじゃいましたね。
なぜクライマックスが異常にアガるのか。
物語中盤で、これ以上ないほどのどん底をキャラクターたちに体験させるからなんです。
観ているこちらも否応なくショックを受ける。「そこまで突き落とす必要あるかよ…」っという感じで。それがまた強烈な反動となり、クライマックスのカタルシスを何倍にも高めてくれます。
「どん底まで落ちたら、あとは登るだけ」って、ホントそう。
さらに、クライマックスのライブシーンが訴えかけてくるのは、”歌うことって楽しい!”という、シンプルなメッセージ。だからこそ、ストレートに心に響く。
最初はみんな賞金のために歌っていたのが、最後は”純粋に歌いたい”という気持ちを爆発させる、その多幸感たるや。不純物が取り払われ、心から「歌う(SING)」を楽しむということに、これほどのエネルギーあるとは!
テイラー・スウィフトの『Shake It Off』がかかった瞬間に涙腺が崩壊するとは!!
まさに、クライマックスのシーンでは、この映画が『SING/シング』という、シンプルかつド直球なタイトルであることを思い知らされます。
いやあ、微妙な日本版タイトルが付けられなくてよかった!笑
この多幸感は映画を観ないと味わえないので、ぜひとも劇場で体験していただきたいですね。
『SING/シング』の残念だったところ
中盤までの蛇足的なシーンなどは、すべてクライマックスで帳消しにしてくれるものの、それでも減点せざるを得ないシーンがこの映画にはありまして。
エンドロール終了後に特典映像が流れます。
PIXERやマーベル・スタジオズの映画ではおなじみですね。くすっと笑わせるシーンだったり、続編へとつながるシーンだったりと、実は映画本編よりも楽しみだったりするエンドロール後の特典映像。
でも『SING/シング』の特典映像は、はっきり言って興ざめ。せっかくの余韻が台無しになるレベルです。
まあ、こればっかりはぜひ劇場でご覧になってください。こういうノリがイルミネーション・スタジオのダメなところだと思うんですけどね。最後の最後にマイナスポイントがついてしまいました。
映画本編の余韻を楽しむなら、エンドロール終了後すぐに退席すべし。
というわけで、まとめ
初回は字幕版で観てきたわけですが、吹替版はどうなんでしょう。内村光良、MISIA、長澤まさみなど、豪華キャストが話題となっていますね。吹替版の予告を観る限りではキャラと配役は合っているように思いましたが... 如何せん歌の部分が。
英語の歌詞をわざわざ日本語で歌いなおすのを良しとするかどうか。そこが評価の分かれ目になるような気がします。
個人的には字幕版がおすすめ。
超豪華なカバー・アルバムとでも言うべき『SING/シング』のサントラ。
海外でも人気のきゃりーぱみゅぱみゅの楽曲も本編で流れます。