良い知らせと悪い知らせがある

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ブログ、Twitterやってるやつはみんな観ろ!:映画『何者』レビュー

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筆者の厳選記事5選

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遅ればせながら、ようやく観ることがかないました。

『桐島、部活やめるってよ』の朝井リョウ原作、『何者』。

nanimono-movie.com

「桐島、部活やめるってよ」の原作者として知られる朝井リョウが、平成生まれの作家として初めて直木賞を受賞した「何者」を映画化。就職活動を通して自分が「何者」であるかを模索する若者たちの姿を、佐藤健、有村架純、二階堂ふみ、菅田将暉、岡田将生、山田孝之という豪華キャストの共演で描いた。監督・脚本は、「ボーイズ・オン・ザ・ラン」「愛の渦」といった映画でも高い評価を得ている演劇界の鬼才・三浦大輔。演劇サークルで脚本を書き、人を分析するのが得意な拓人。何も考えていないように見えて、着実に内定に近づいていく光太郎。光太郎の元カノで、拓人が思いを寄せる実直な瑞月。「意識高い系」だが、なかなか結果が出ない理香。就活は決められたルールに乗るだけだと言いながら、焦りを隠せない隆良。22歳・大学生の5人は、それぞれの思いや悩みをSNSに吐き出しながら就職活動に励むが、人間関係は徐々に変化していく。(映画.com)


最初は、「おっ!仮面ライダー電王とWが共演しているぞ!」「リクルートスーツの集団って、客観的に見ると異様だなあ」なんて感じでリラックスして観てたんですが…。


『何者』が扱っているテーマは普遍的である

学生だったことがある。

部活、サークル、コミュニティに所属していたことがある。

就職活動をしたことがある。

SNSをやっている、やっていたことがある。


どれかひとつでも該当する人は、ぜったいに思い当たるフシがあると思います。

この作品を一言で表すと、

「とても意地悪な、でも優しい作品」

『何者』は就活を題材にしていながら、実はとても普遍的なお話で、とにかく封印していた自分の嫌な部分を丸裸にされて、ナイフでチクチク刺されていくんですよ。

まるで、それまで完璧だと思っていた学生の自分に、就活という現実が立ちふさがり、自信がボロボロと崩れていく感じに似ている。

もう心当たりがありすぎて、過去の自分の嫌な部分をもう一度暴かれたようで、死ぬかと思いました。

ぼくも就活やってたとき、まさに同じようにやらかしてましたからね。

前半はまったりと話が進んでいくわけですが、ただ、心臓をナイフでチクリチクリと死なない程度に刺され、中盤のある展開でザクーッとナイフを突き立てられ、後半は出血多量で死ぬのを待つ感じ。

あまり、万人におすすめできる作品ではないです。

超痛いから。

「あ〜〜〜、そこやらかすよなあ…思い出させるなよ…」

「おい!おれの痛々しいところを映画にするんじゃないよ!」

「いやマジで、なんでこんな作品つくっちゃうんだよ!痛すぎて死ぬわ!!」


登場人物たちのすったもんだを高みから見物している感覚だったのに、途中からだれかにずっと見られている感じがするんですよ。

それほど、嫉妬、羞恥、焦燥感、優越感… だれしもが抱えたことのある感情を、この映画は容赦なく叩き込んできて、観ているこちらに訴えかけてきます。

「あなたも、同じように痛々しい青春を送ってきたよね?」

はい、そのとおりです。

痛い痛い痛い

でもね、最後の最後に、打ちのめされた心は米津玄師の曲で優しく洗われ、救われ、優しく背中を押されるんですよ。

何者にもなれた青春が終わり、何者かになるために現実へ立ち向かっていく。

ラストは、主人公の背中越しにカメラが追っていく絵で終わるんですけど、自分に重ねちゃって、かなりウルッときましたね。


ブログ、Twitterやってるやつもみんな観ろ!

ぼくはブログを書きはじめて3週間ほどになります。

そのタイミングで『何者』を観ると、まあ…これも心当たりがありすぎて。

日々のブログ活動のなかで、だれだって少なからず感じているはず。


PV数が伸びないことへの焦り、自分と同じタイミングではじめたブロガーの記事がバズる焦り、すでにブログ飯を実現した先行者への嫉妬…


ぼくはこれらすべてを抱えながら、記事を書いています。

だからこそ、『何者』で描かれる主人公の葛藤や苦悩がどストレートに伝わってくる。

そりゃあさ、だれだって他人からは優等生に見られたいし、どす黒い感情はどこかで吐き出さなきゃやってられない。

ちょうどTwitterが作中のキーアイテムとなってることもあって、ブロガー諸氏とは親和性の高い作品だと思いますよ。

 

というわけで、ざっくりまとめ。

仮面ライダーファンは豪華共演を楽しむ意味でも観てよし。

女子のリクルートスーツを眺めにいくのもよし。

山田孝之が登場したときの、圧倒的な安定感と安心感。

封印したはずの過去の自分の嫌な面を、もう一度ほじくり返されて、殺してもらおう。


最後に待ち受けるのは、後味の悪いラストではなく、未来への希望だ。

 

追記:こちらの記事もぜひ。

www.motomurahajime.com