良い知らせと悪い知らせがある

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黒木華ってエロかったんだな...。本木雅弘主演:映画『永い言い訳』レビュー

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筆者の厳選記事5選

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ぼくが最近観た映画のレビューです。

今回の作品はこちら。

nagai-iiwake.com


「ゆれる」「ディア・ドクター」の西川美和監督が、第153回直木賞候補作にもなった自著を自身の監督、脚本により映画化。
人気作家の津村啓こと衣笠幸夫は、突然のバス事故により、長年連れ添った妻を失うが、妻の間にはすでに愛情と呼べるようなものは存在せず、妻を亡くして悲しみにくれる夫を演じることしかできなかった。
そんなある時、幸夫は同じ事故で亡くなった妻の親友の遺族と出会う。
幸夫と同じように妻を亡くしたトラック運転手の大宮は、幼い2人の子どもを遺して旅立った妻の死に憔悴していた。
その様子を目にした幸夫は、大宮家へ通い、兄妹の面倒を見ることを申し出る。
なぜそのようなことを口にしたのか、その理由は幸夫自身にもよくわかっていなかったが……。
(映画.com)


個人的にモックンこと本木雅弘が出てる映画って好きなんですけど、この映画はあまり観に行くつもりはありませんでした。

「家族の絆とか、妻への愛情とか、独り身の俺にはわかんねーや」くらいの感覚でしたから。

でも、結果的にこの映画は観てよかった。

たとえば、彼氏彼女と別れた経験があるとか、疎遠になった友だちに突然再開した経験があるとか、それだけでもぐっと引き込まれるところがあります。

もちろん、ご結婚されている方、お子さんをお持ちの方はぼく以上に没入できると思いますよ。

それでは、レビューです。


黒木華ってエロかったんだな。キャスティングが巧い『永い言い訳』。

『永い言い訳』を観て、強烈に印象に残ったのは「黒木華のエロさ」。

本作では本木雅弘演じる主人公・衣笠幸夫の不倫相手として出てくるんですが、なんかね、絶妙な「生々しさ」を醸してるんですよ。

この主人公の不倫相手を演じたのが美人系の女優さんとか、セクシー女優さんとかだと、ここまでの「生々しさ」はなかったと思うんです。

それは、本作が「妻を亡くした夫が再生していく話」をドキュメンタリー調に描いているというところがポイントでしょう。

「不倫する女って意外と地味な子が多いよねあるある」でストンと腑に落ちる感じ。

さらに、地味な女がいけない情事を重ねるというエロさ。

ホント、必見です。

とにかく、エロい黒木華が観られるってだけでも、この映画を観るべき理由になるくらいです。笑


キャスティングで言うと、子役の二人もいい。

なんというか、演技演技してないんですよ。

「ああ、こういう子いるいる」「この年頃の子って、こんな感じだよね」っていうのが、子育ての経験がなくても自然に感じられる。

本作では、子役の二人が非常に重要な役どころを演じていて、その演技が破綻していると、作品全体がダメになるリスクすらあると思うんですね。

でも、子役の二人は監督の要望に応えた。

とくに、長男の子が別に泣くところでもないシーンでとつぜん泣き出すんですが、それがほんとうに自然なんですよ。

「ああ、こういうときって、どうしていいかわかんなくて、泣いちゃうよね」 って。

率直に、素晴らしい演技です。


泣かせに来ないところに好感が持てる

昨今の日本映画を観てて思うのが、とにかく「エモい」シーンを長回しで撮ってみせる演出の多いこと多いこと。

やたら主人公が大声で叫んだり、メソメソ泣いたり、そのバックに「いかにも」な音楽を流したり...

そういう作品って「ほら、泣けるでしょ?」「ほら、感動するでしょ?」って押し付けられてる感じがして萎えるんですが、本作では、こういう「エモい」シーンを非常にドライに描いています。

たとえば、主人公の幸夫が怒りをぶちまけるシーンがあったりするんですが、そこもカット割りや間を工夫して、あえて距離をおいた演出をしてるんですよ。

それを「突き放されてる」 と感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、本作をドキュメンタリーとして観れば、その距離感がちょうどよく感じられると思います。

さらに、ラストも「感動の押し売り」的な演出をせず、あくまでも自然。

ぶっちゃけ、こういう距離の置き方もあって、本作は「めっちゃ泣けるシーン」がほぼありません。

だからこそ、自分の経験に重ねて、考えて、観終わった後の心地いい余韻につながるんだと思います。


「家族映画」ブーム、来てますね

邦画に限らず、洋画でも、最近は「家族」をテーマにした作品が続々公開されていますね。

たとえば、山田洋次監督の『家族はつらいよ』、タナダユキ監督『お父さんと伊藤さん』、洋画ではディズニー・PIXARの『ファインディング・ドリー』、公開が予定されている『湯を沸かすほどの熱い愛』もそう。

それは家族の血のつながりの強さだったり、血のつながりはないけど寄り添う人たちだったり、「家族」の切り口は様々。

こういった映画が多くなっている背景というのは、もしかしたらぼくら現代人がもう一度「家族」というのを見つめ直すタイミングに来ているからかもしれませんね。

エロい黒木華を観に行くもよし、かわいい子役の演技にほっこりするもよし。

『永い言い訳』、ぜひ劇場で!