良い知らせと悪い知らせがある

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本当に良い映画も、良くない映画もレビューします。

新作にゴーサイン出したやつの名前を書いてやる。:映画『デスノート Light up the NEW world』レビュー

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筆者の厳選記事5選

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photo by homard.net

前作『デスノート』『デスノート the Last name』『L change the WorLd』の3作をHuluでイッキ見してからのぞみました。

初日の今日、さっそく観に行ってきましたよ。

『デスノート Light up the NEW world』

wwws.warnerbros.co.jp

座席はだいたい7割くらいが埋まってましたね。

まあ、上々な動員数ってところでしょうか。

では、レビューいってみましょう。


続編のジレンマ

続編を作るにあたって、どうしても逃げられない命題があります。

それは、「前作よりもスケールアップしていること」。

キャラクターを増やしたり、敵をより強大・巨大にしたり、舞台をより広範囲にしたり…ですね。

こういった試行錯誤のすえに続編は作られるわけですが、よほど実力のある監督でないと、とっちらかってしまうのがオチ。

名作と呼ばれる作品ほど、2が1を超えるのは容易いことではありません。

たとえば、ターミネーターシリーズで最も人気のある『ターミネーター2』だって、前作では敵だったT-800を人間の味方にするという裏技を使ってますし、『バック・トゥー・ザ・フューチャー PART2』は、前作では過去にしかタイムスリップできなかったのが、未来へも行けるようになっていますが、1の倍は面白くなったかというと…。

まあ、続編というのはそれだけハードルが高いわけです。

それを踏まえて、デスノートLNW。

前作では2冊だったデスノートが、新作では6冊も登場するというスケールアップ策がほどこされています。

ではここで、デスノートLNWの「良い知らせ、悪い知らせ」をあげてみましょう。

 

良い知らせ
・安室奈美恵の主題歌を含め、曲がいい
・死神たちのCGのクオリティがアップしてる

悪い知らせ
・本作のテーマ「デスノート争奪戦」のインパクトが希薄
・やっぱりノート6冊もいらない
・あいかわらず警察組織が無能


うーん、やっぱり続編のジレンマをモロに食らってましたね。

でも、良い知らせもちゃんとあるので、まずはそこからレビューしていきましょう。


デスノートLNWの良かったところ

・安室奈美恵の主題歌を含め、曲がいい

これは救いでした。

全体的に緩急をつけたシーンが続くんですが、緩のシーンがずっと退屈。

かといって急のシーンも粗が目立ちすぎてイライラするし。

それをカバーするBGMがあったからこそ、居眠りせずに済んだくらいですよ。

エンドロールで流れる安室奈美恵の主題歌は、シンプルに良い曲です。


・死神たちのCGのクオリティがアップしてる

Huluで前作を観返してみると、まあ、死神リュークやレムのCGが粗い。

当時としてはかなり頑張ってたかもしれませんが、さすがに10年も経てば見劣りしますね。

それから10年の技術の蓄積、新作のCGはよくできてました。

もともと表情の変化に乏しい死神たちが、クオリティアップしたCGによって豊かに表現されてます。

リュークの翼の毛羽立ちとかも、よく描けてたなあ〜

まあ、ぼくが良かったところとして挙げられるのはこれくらいですかねえ。

 

デスノートLNWの悪かったところ

・デスノート争奪戦のインパクトが希薄
先に書いたように、続編のジレンマがモロに出てます。

まず、デスノートの最大の特徴である、「デスノートに名前を書かれた者は死ぬ」という設定。

漫画や映画では、そのルールを使ったトリックがお話の最大の見せ場であり、観客にとってのインパクトだったわけですが、続編で同じことをやっても、さすがに二番煎じにしかなりません。

今さらノートに名前を書かれた人が死んだところで、ビックリはしないでしょ?

だからこそ、LNWでは「名前を書かれた者は死ぬ」以外のトリックで観客を楽しませなければならない。

そこが難しかったんでしょうねえ。

前作を超えるインパクトはなかった。

デスノートの裏技的なルールを引っ張りだして、無理に見せ場を作っている感じがするんですよ。

中盤とあるどんでん返しが起こるんですが、それまでの伏線の張り方が上手くないため、どうしても後出しジャンケンに見えてしまうのが残念。

ぼくのようにデスノートをよく知らないデスノート弱者からしてみれば、「ああ、こういうルールあったなあ、そういえば… でも、全然パッとしねえな」って感じ。 

・やっぱりノートは6冊もいらない

LNWの「ウリ」のひとつだったっぽい「今回はデスノートが6冊登場する」という設定。

…まったく活かせてない。

6冊なら、6冊でなければならない説得力が必要なんです。

「デスノート争奪戦」を銘打つなら、たとえ敵が5冊を所有していても、1冊あれば大逆転できる、的な緊張感を生み出さなくちゃいけないんです。

…まったく活かせてない。

残念ながら、本作の話の流れなら、3冊あればじゅうぶんでしたね。

じゃっかんネタバレになりますが、ラストで4冊燃やされてるし。


・あいかわらず警察組織が無能
これは前作からつづく伝統芸みたいなものですが、呆れるくらい警察組織が無能。

簡単にハッキングされすぎ、簡単に留置所から脱走されすぎ、機密盗まれすぎ、SWAT部隊正面から攻めすぎ… 挙げればキリがない。

まあ、これらを完璧にしたところでお話が面白くなるわけではないですけどね。


というわけで、まとめ。

前作できれいにまとまってたんだから、無理に新作をやらなくても…しかも続編あるっぽいし。

エンドロール後に出てくる「とある台詞」は、観客の感情を逆なでしてる気がする。笑

新作にゴーサインを出したやつの名前をデスノートに書いてやりてえわ!

 

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