良い知らせと悪い知らせがある

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本当に良い映画も、良くない映画もレビューします。

日本よ、これが54歳のトム・クルーズだ。『ジャック・リーチャー NEVER GO BACK』レビュー。

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photo by Gage Skidmore | Flickr

トム・クルーズ主演、『アウトロー』に続くジャック・リーチャーシリーズ第2弾、『ジャック・リーチャー NEVER GO BACK』が、本日より一般公開となりました。

前作『アウトロー』が大好きなぼくも、さっそく初日から観に行ってきましたよ!

今回は、『ジャック・リーチャー NEVER GO BACK』のレビューをお届けします。

 

「ジャック・リーチャーシリーズ」とは

在米イギリス人推理小説家リー・チャイルド(Lee Child, 1954年 -)による小説シリーズの主人公で架空の人物。今は流れ者だが、かつては米陸軍憲兵隊捜査官だったという設定。同シリーズの9作目を映画化した『アウトロー』(原題:Jack Reacher・2012年製作)では、トム・クルーズがジャック・リーチャーを演じている。

トム・クルーズが新たなヒーロー像を打ち立てた、ジャック・リーチャー。続編となる「NEVER GO BACK」は、前作とのつながりがほとんどないため、前作を観ていない方でも鑑賞OKな作品となっています。簡単なあらすじは次のとおり。

元アメリカ軍のエリート秘密捜査官ジャック・リーチャーは、現在はたったひとりで街から街へと放浪の旅を続けている。ある日、ケンカ騒ぎの末に保安官に連行されそうになったリーチャーは、この騒動が何者かによって仕組まれたものだと気づく。元同僚のターナー少佐に会うため軍を訪れると、ターナーはスパイ容疑をかけられ逮捕されていた。ターナーを救い出したリーチャーは、軍内部に不審な動きがあることを知り、真相を探り出そうとするが……。

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(C)2015 PARAMOUNT PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED.

 

それでは、レビュー本編にまいりましょう。

 

『ジャック・リーチャー NEVER GO BACK』の良いところ

日本よ、これが54歳のアクションだ

良いところは、この一言に尽きますね。54歳、孫がいたっておかしくない年齢のオジサンが、若造相手に大立ち回り。しかも身長170cm、ハリウッドでは小柄な方のトムがゴリゴリのマッチョを圧倒するわけですから、これははっきり言って「トム・クルーズを観るための映画」です。間違いない。

さらに、この作品ってアンチ・ミッション・インポッシブル的な作りになっていて、ミッション・インポッシブルがスタイリッシュでトリッキーなアクションが見どころのひとつだとしたら、ジャック・リーチャーは生々しくて痛々しいアクションが見どころ。

カメラワークも、カットをチャカチャカ割っていく、スピーディーな最近のアクション映画とは異なり、カメラがトムを舐め回すように、ねっとりとした感じのある撮り方をしています。

強いんだけど、決して無敵じゃなくて、反撃を食らうこともあれば、足元をすくわれてピンチになることもある。だからこそ、観客は感情移入しやすいんでしょうね。トム・クルーズのファンのみならず、最近のスタイリッシュかつド迫力のアクションに食傷気味なあなたにこそ観てほしいアクションが満載です。

 

センスのいい、オフビートな笑い

前作に比べるとちょっと抑え気味ですが、オフビートな笑いも本作の面白いところ。「ほら、面白いでしょ?笑って!」という感じじゃなくて、さらっと笑えるシーンを混ぜ込んでくるところが、たまんないんですよね。今回も心のなかで「グッジョブ!」と親指を立てたくなるシーンがいくつかありました。

全体的に面白すぎて、むしろ全部のシーンが平坦に見えるような最近のアクション映画とは違い、いい感じの距離感を保ってくれています。

 

『ジャック・リーチャー NEVER GO BACK』の悪いところ

前作に比べるとちょっとトーンダウン

全体をとおしての感想を言えば、「前作のほうが面白かった」です。そう感じた原因として、前作に比べてアクション、オフビートな笑いがトーンダウンしていたところかと。

まず、「敵の正体を暴き、敵を追い詰めてアジトにカチこむ」アクションの王道を行ってみせた前作と違い、本作は敵から逃げることがメインになっています。

もちろん、「敵に追われていてもジャックがいるから安心」感はあるんですが、前作にあった、ジャックの「解き放たれた野獣」感が薄れてしまった感じはありました。

本作のように、「ジャックにとって命をかけて守るべき人物」がいると、どうしてもそうなってしまうのは否めないのかなあ〜と感じましたね。

 

もうちょっとおもしろが欲しかった

オフビートな笑いも、本作ではちょっと物足りない感じがしました。良かったところに挙げたように、1つ1つは最高に面白いんですが、全体的に数が少なくて。個人的には「前作であれだけ笑わせてくれたんだから、もうちょっと見せてよ!」という欲が出てしまいましたね。

その原因のひとつに、前作のジャックは携帯電話すら持たないアナログな人間として描かれ、それゆえの「時代遅れ」感が笑いどころでした。

一方、本作ではスマホを持ち歩き、ある程度ネットに詳しいパートナーと共に行動しているため、前作の笑いどころだったジャックの「時代遅れ」感をじゅうぶんに味わえなかったのが残念です。

 

というわけで、まとめ。

この映画を楽しむ大前提として、「トム・クルーズが画面に出てくるだけで期待できる!」くらいのテンションで観たほうがいいのは確かです。これはもう、ジャック・リーチャーシリーズを観るうえでのお作法です。

レビューで書いたように、昨今の「スタイリッシュなアクション映画こそ至高」と信じるあなた(言葉を選ばずに言えば、「スタイリッシュアクションに毒されている」あなた)にとっては、物足りなく感じるのも致し方ないのかな、と思います。

ちなみに、前作『アウトロー』はAmazonプライムビデオで配信されているので、ぜひこちらも観てみてくださいね。