良い知らせと悪い知らせがある

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本当に良い映画も、良くない映画もレビューします。

爽快感も不快感も同期する。映画『ハードコア』の感想、レビュー

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筆者の厳選記事5選

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こんにちは、もとむらはじめ(@motomurahajime)です。

4月7日から公開のスカーレット・ヨハンソン主演の『ゴースト・イン・ザ・シェル』、初日に観たかったなあ...

案の定、席は埋まってしまっていて、明日以降に持ち越しということで...

今回は2013年にYouTubeに公開された動画が話題となっていた?一人称視点(POV)映画『ハードコア』を観てきましたよ。

金曜の夜ということもあってか、席はだいたい6~7割くらいが埋まっていた様子。

では、レビューへとまいりましょう。

 

映画『ハードコア』

youtu.be

映画「ハードコア」公式サイト

【原題】Hardcore Henry

【日本での公開】2017年4月1日

【上映時間】96分

【監督】イルヤ・ナイシュラー

【脚本】イルヤ・ナイシュラー

【出演】シャールト・コプリー、ヘイリー・ベネット

【あらすじ】目を覚ますと、そこは見覚えのない研究施設だった。妻のエステル(ヘイリー・ベネット)がヘンリーの腕に機械の腕を取り付けている。大きな事故があり、ヘンリーの身体は激しく損傷していた。機械の腕と脚を装着され、声帯を取り戻す手術に取りかかろうとした時、侵入者が襲い来る。(filmarks)

映画.comの評価平均点 3.5 点 / 評価:41件

Yahoo!映画の評価平均点 3.4 点 / 評価:138件

Filmarksの評価平均点 3.7点

僕の評価は100点中 70点

ざっくりとした感想は...

映画館の座席は絶対に真ん中より後方を取るべし!!

これ以上に言うことはないですね。

僕はどうしても真ん中から後ろの列の席が埋まっていたので、スクリーンから数えて4列目、わりと前方に座って観たんですが...

ォエー

気持ち悪い!

とにかく画面がブレにブレまくるので、車酔いに弱い方なんかは確実に気分が悪くなると思います。

かくいう僕も、開始5分くらいで三半規管をやられ、終始スクリーンを直視することができませんでした。

今日だけは立川シネマシティご自慢の極上音響が、まるで凶器のように聴覚に響きましたねえ...

 

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斬新、実験的!『ハードコア』は映画体験を一歩進めた!

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個人的には先に書いたように、開始直後に気分が悪くなってしまったため、100パーセント『ハードコア』を楽しめたとは言えません。

でも、それを差し引いても、映画じたいはとても斬新で実験的で、1分先も読めない怒涛の展開はじゅうぶんに堪能できました。

 

POV映画の進化系が確かに『ハードコア』にはある!

おそらく観た人のほとんどが『ハードコア』という映画のゲーム性、POV映画の可能性を堪能したことでしょう。

フタを開けてみれば、お話じたいは非常にシンプルなんですよ。

サイボーグのような身体となって目覚めた主人公ヘンリーが、敵の親玉にさらわれた妻を助け出すため、とある登場人物の助言に導かれ、アイテムを入手し、パワーアップしながら敵のアジトを目指す。

この流れはまさにロープレイングゲームかアドベンチャーゲームのようだし、そもそもアクションじたいがFPS(一人称シューティング)を体感しているようで、終始「映画以上のものを観ている」感覚でした。

クライマックスのとある一連のアクションは、まさにリアル「スーパーマリオブラザース」で、さすがに爆笑するくらいの勢いがありましたからね。

しかもクイーンの『Don't Stop Me Now』を合わせてくる衒い(てらい)のなさたるや!

www.youtube.com

POV映画といえば、これまでにも『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』『クローバー・フィールド』『パラノーマル・アクティビティ』などの意欲的な作品が数々ありましたが、ここ最近では下火になっていた印象。

当時は低予算ながら興行成績で大成功を収めたと話題に

 

後に「フォースの覚醒」を監督するJ.J.エイブラムスの作品

 

 

そこに投下された新たなPOV映画『ハードコア』は、「体感する、同期する」にベクトルを振り切っているため、これまでの過去作とは一線を画した、異質な作品となっています。

少し大げさな言い方かもしれませんが、イルヤ・ナイシュラー監督はこの作品を持って、3D映画のパイオニアである『アバター』が果たした役割と同等かそれ以上の功績を残したと思いますね。

 

1分先も読めない怒涛の展開!

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観ていて一番爽快感を味わったのが、展開の凄まじさ。

お話の大筋はシンプルながら、「次に何が起こるかわからない」感じは、これまで観てきたどの映画とも違うものがありました。

こちらのインタビューでイルヤ・ナイシュラー監督がゲームと映画の違いとして次のようなことに言及されています。

ゲームは映画ほどストーリー性がそこまでなくても楽しめます。それに対して、映画には最後まで人を惹きつけるストーリー性が必要です。そういった点では少し違うかもしれませんが、ゲームはゲームなりに、映画は映画なりに観客を飽きさせない仕掛けや工夫を制作者たちはたくさんしています。

まさに、1分先も読めない怒涛の展開は、イルヤ・ナイシュラー監督が苦心したであろう「観客を飽きさせない仕掛けや工夫」が見事に反映されていました。

一段落...する間もなく次から次へと畳み掛けてくる、予想を遥かに超えた展開。

驚くほど質の高いアイデアをいとも簡単に(見えるレベルで)実現させる凄み!

「ええっ!まさかここでこんなこと起きちゃうの!??」の連続です。

しかも、そんなに予算はかかってなさそうなのに、かけたコストの何倍もの良パフォーマンスを実現させているところがまた素晴らしい。

その分、シンプルすぎた(読めた)ラストの展開にじゃっかん拍子抜けしましたが、そこはアクションのパワフルさで強引に持っていかれた感じですかね。

車酔いに似た気分の悪ささえなければ、96分という上映時間を感じさせないスピード感だったと思います。

膨大な予算なんか要らない、アイデアさえあればね。

 

というわけで、まとめ

最大限の配慮はなされているものの、やはり「画面酔い」は避けられない映画なんじゃないかと思います。

今回は字幕2Dで鑑賞しましたが、これが3Dだったり4DXだったりしたら...身体への負担はかなりあるんじゃないでしょうか。

それに加えて、劇中にはスプラッター描写、エロ描写が満載で、お子様の鑑賞にはまず耐えられません。たしか、15+指定なのかな、日本では。

観る人を選ぶ映画ではありますが、ハマった人は何度も何度も観たくなる...

というよりも、爽快感も不快感も含めて、映画に同期(シンクロ)したくなること間違いなしですね。

新たな門出も多いであろう4月に、映画界にPOV映画の新風を吹き込んだ本作。

画面の揺れと残酷描写に負けない「ハードコア」な心臓をお持ちの方に、おすすめの一本です!

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