映画を超えたSFがある。人気TV番組『クレイジージャーニー』を語る。
こんにちは、もとむらはじめ(@motomurahajime)です。
今週末は楽しみにしていた『ナイスガイズ!』の公開日なのですが、忙しさにかまけてなかなか映画を観に行けておりません。遅くとも月曜日には新作の鑑賞を...
さて、本日の記事は、映画でもなければ、ネット配信の番組でもない、とあるTV番組について語っていこうと思っています。
日頃ほとんどテレビを観ない僕にしては、ひとつの番組にハマるのは非常に珍しいこと。
今回のテーマはダウンタウンの松本人志、小池栄子、バナナマンの設楽統がMCを務める、「TBSの人気バラエティ番組『クレイジージャーニー』を語る」でございます。
紀行バラエティ番組『クレイジージャーニー』とは
【制作局】TBS
【放送時間】金曜日 0:10 - 0:55(木曜深夜)
【出演者】松本人志(ダウンタウン)、設楽統(バナナマン)、小池栄子
【ナレーション】銀河万丈
世界を巡る狂気の旅人(クレイジージャーニー)をスタジオに招き、体験を語ってもらったり、番組スタッフと同行ロケをする。
冒険家、ジャーナリスト、写真家、作家、経営者などさまざまな職業の人物が「クレイジージャーニー」として登場する。故人を取り上げることもある。ただしすべて日本人で、外国人は取り上げない。(Wikipedia)
何がいいって、同じく紀行番組である『世界ふしぎ発見!』を擁するTBSが制作している、よりディープな紀行番組っていうのがいいですよね。
ハードコア版『世界ふしぎ発見!』といいますか、それこそ90年代くらいまでの「ふしぎ発見」は、最近の観光名所ばかりをめぐるヌルい旅じゃなくて、もっと未開の地でふしぎ発見してて、すっごくワクワクしたものですけど(思い出補正かも)。
まあ、それは脇に置くとして。
僕が『クレイジージャーニー』にハマったのは今年に入ってからなので、ほんとつい最近知ったレベルの「ニワカ」なんですが、まあゴニョゴニョな方法で過去の放送分をあさって観ております。
いやあ... タイトルにも書いたとおり、映画を超えたSFがありますね。もうびっくりするような映像や情報が飛び込んできて、知的好奇心をビンビンに刺激されます。
僕も好きでGoogle Earthを眺めたり、世界の遺産巡りだったりをネットで調べたりするんですが、それって自主的に探している行為じゃないですか。
そうじゃなくて、たまたまテレビを観ていたら『クレイジージャーニー』を放送してて、そのときに紹介された前人未到の地だったり、朽ち果てた廃墟だったりが、想像の域を超えて素晴らしかったときの感動ときたら。「まったく期待していなかった映画がメチャクチャ面白かった」ときのような、「棚からぼたもち」的な快感がありますよね。
それこそ、『ふしぎ発見』は「PTAが選ぶ子どもに見せたいテレビ番組」に選ばれるような、まっとうな教養番組。それと同じ制作局でありながら、決して科学や地歴の教科書には載らない、自然の脅威だったり、人間のディープな部分だったりを垣間見せてくれる『クレイジージャーニー』こそ、まさに褒め言葉としての「クレイジー!」を冠するにふさわしい番組だと思います。
個人的な「神回トップ3」
『クレイジージャーニー』は狂気の旅人がプレゼンの要領で、自身の旅先での出来事や、ライフワークを紹介する番組です。
危険な場所、未知の動物、常人には理解し難い偉業...
視聴者の知的好奇心を刺激する様々な情報が毎回飛び出す贅沢な番組ですが、「まだ観たことがない」という方にぜひともおすすめしたい、「個人的な神回トップ3」をご紹介したいと思います。
Amazonプライムビデオあたりで過去の放送回を配信でもしてくれていたら、リンクのひとつも貼ったのですが...
まあ、ゴニョゴニョな方法を使えばいくらでもネットで動画が拾えるので、そのへんはお任せします、ということで。
第3位 映画のような現実の話
【放送日】2016年4月28日
【クレイジージャーニー】丸山ゴンザレス
【テーマ】メキシコ麻薬戦争
人気クレイジージャーニーのひとりである丸山ゴンザレスさんが、世界でも有数の治安が悪いとされる国メキシコにおもむき、そこで繰り広げられる麻薬戦争を取材した回。前編後編に分かれている。
MCの松本人志さんが「日本でいうところの幕末の新撰組みたい」と、非常に秀逸なたとえを用いたように、何が正義か悪かわからない、貧困だけでなく、また麻薬だけでなく、様々な立場の人間の様々な思惑が交錯する複雑なメキシコの問題を浮き彫りにしています。
拷問された死体がクルマの往来の多い路端に転がってるとか、もう冗談じゃないくらい「世紀末」でしょ。
マフィアや警察、善良な市民を巻き込んだ麻薬戦争。よく映画になりやすいテーマではありますが、まさに映画のまんま。「これって映画の話じゃなくて、現実なんだ」ということをまざまざと見せつけられます。
第2位 地球最後の秘境
【放送日】2015年6月4日
【クレイジージャーニー】高井研
【テーマ】深海に潜り続ける熱い男
そもそも僕自身が深海生物の図鑑とか買っちゃうくらい、深海という世界が大好きなのもあって、この放送回を第2位にしました。
関連書籍を読んだり、興味本位で調べている人であれば、この放送回で紹介される深海生物のほとんどは「ああ、知ってる」くらいのものなのですが、僕が心を鷲掴みにされたのが、今回のクレイジージャーニーである高井研さんの「志」。日本の海洋研究のトップの研究者が、まるで子どものように深海生物の生態系だったり、生命の起源だったりを語る姿。
高井さんが投げかける「なぜ生命の起源の謎を解くカギが深海にあるのか」という問題提起は、もう「すっげえ、そんな考え方があるのか」と驚くばかり。
第1位 一度は行ってみたい世界遺産
【放送日】2015年6月11日
【クレイジージャーニー】佐藤健寿
【テーマ】世界四大廃墟
こちらも前編後編で欧州4箇所の奇界遺産(佐藤さん命名)を巡る回となっています。
廃墟っていいですよね。僕、大好きなんですよ、廃墟のまとめ記事読んだり、Google Earthで探したりするの。あまり女性で廃墟好きって聴かないですよね、もしかしたら男性特有のカタルシスかもしれませんが。
僕の出身地である長崎には、映画『007 スカイフォール』や『進撃の巨人』のロケ地で有名な端島(「軍艦島」で有名、画像)がありますが、世界には見知らぬ廃墟マニア垂涎の廃墟がゴロゴロある...それがまた、知的好奇心をくすぐり、放送を見た後に必ず調べたくなるんですね。
廃墟って、無人なのに人の気配を感じるホラー感だったり、朽ちていく「滅びの美」もたまらないんですけど、やっぱり、その背景にある歴史に心を掴まれるんですよね。第二次世界大戦で要塞として利用されていたとか、軍艦島で言ったらエネルギー資源が石炭から石油にシフトしたことで人が出ていったとか...
とくに前編に登場する「共産党ホール」は廃墟としては最高ランクに位置するレベルで驚愕の建築物ではないでしょうか。その大きさといい、暴力的なまでのデザインといい、歴史的背景といい。
とくべつ廃墟が好きって人でなくても、きっと楽しめる回だと思いますよ。
ひたすら廃墟を撮り続けたクレイジーな映画
【原題】Homo Sapiens
【公開】2016年/オーストリア・ドイツ・スイス合作
【上映時間】94分
【監督】ニコラウス・ゲイハルター
【あらすじ】日本で10万人が観た大ヒット作
『いのちの食べかた』のニコラウス・ゲイハルター監督最新作 撮影期間4年、世界70ヶ所以上にも及ぶ“廃墟”にカメラを向けた唯一無二の映像集(公式サイトより)
ナレーションなし、音楽なし、ひたすら廃墟の風景を映し出すだけの、廃墟マニアのための映画ですね。邦題がちょっと滑ってる気がしなくもないけど、原題”Homo Sapiens
”(人類)って、深いなあ...
たぶん『クレイジージャーニー』にハマってなければ、鑑賞することなくスルーしてたと思います。ミニシアター系なので、なかなか地方では観ることのかなわない映画かもしれませんが、ぜひともこの映画は静かに、ただひたすら心を落ち着けて観たいですね。
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