映画『バーフバリ 王の凱旋』レビュー&感想!王を称えずに年が越せるか
こんにちは、もとむらはじめ(@motomurahajime)です。
ライター業の方がまだまだ収束しない年の瀬ですが、どうしても王を称えずに年を越えたくなかったので筆を執った次第。
年内最後で2ヶ月ぶりのレビュー記事は、公開日から2日続けて観たインド映画『バーフバリ 王の凱旋』です。
- 映画『バーフバリ 王の凱旋』
- 看板に偽りなし!あの予告ですら控えめなくらい
- 「王の凱旋」はツッコミを捻じ伏せる絶対王者の風格がある!
- 好きなシーンいっぱいあるけどとりあえず言いたい
- 映像は言うまでもなく音楽も最高にアガる
- というわけで、まとめ
映画『バーフバリ 王の凱旋』
公式サイト:http://www.gundam-the-origin.net/
【原題】Baahubali 2: The Conclusion
【日本での公開】2017年12月29日
【上映時間】141分
【監督】S・S・ラージャマウリ
【脚本】S・S・ラージャマウリ
【声の出演】 プラバース、ラーナー・ダッグバーティ、アヌシュカ・シェッティ、タマンナー
【あらすじ】ある日、シヴドゥは自分が今や人々の語り草となっている伝説のヒーロー、バーフバリの息子だと知る。彼は父親の家臣カッタッパから父はある人物の裏切り行為により命を落とし、王座を追われたという話を聞く。かつて父バーフバリはカーラケーヤとの戦いに勝利し、国母シヴァガミから王位継承者として認められ……。(シネマトゥデイ)
Yahoo!映画の評価平均点 4.76 点 / 評価:17件
Filmarksの評価平均点 4.3点
僕の評価は100点中 99点
折しも、このタイミングで「遠い昔。遥か彼方の銀河系で」ではじまる映画の最新作が公開されていますが、こちらは「遠い昔。遥か彼方のインドで」ではじまる映画。
宇宙で銀河帝国と反乱軍がドンパチやってたころ、インドでは最強の男が殺された父親の復讐劇に……の、2部作完結編!これが近ごろのハリウッド映画だと「実は3本目の製作がけってい~」なんて肩透かしを食らうところでしたが、そこは我らが王。ちゃんと完結させてくれました。思い切りの良いエンディングも最高だ。
それでは、レビュー&感想へとまいりましょう。
看板に偽りなし!あの予告ですら控えめなくらい
最近はあまり見なくなりましたが、予告でやたら「史上最高」とか「全米が泣いた」とか煽っておきながら、実際の映画を観るとそうでもなかった……というのはよくある話で。
「王の凱旋」の本編上映前にも、公開中の日本映画『8年越しの花嫁 奇跡の実話』の予告映像が流れてましたが、もうなんというか……この手の映画にお決まりの「試写会で泣いている観客を暗視カメラで撮影」「上映後『映画でこんなに泣いたは人生で初めてです』と言わせるインタビュー」でしてね。
いやまあ、観てもない映画をあれこれ腐すのはよくないですが、この予告の手法をいつまで繰り返すのか、というか……映画それ自体がタイトルに「奇跡の実話」って入れちゃってるのもどうかと思いますが。
話が逸れちゃうのでここまでにしておいて。映画の予告というのは、多くの観客を呼び入れるために、ちょっとばかり大げさに宣伝するのは仕方のないこと。でも「王の凱旋」は、予告の煽りをひとつも外さないし、むしろ軽々と越えてきている。本編を観ちゃったら、予告編は控えめだったんじゃないかとすら言えますね。
「王の凱旋」はツッコミを捻じ伏せる絶対王者の風格がある!
観た人の多くが諸手を挙げて絶賛している「王の凱旋」ですが、観ていない人やうるさ型の映画ファンの一部には、「インド映画って、歌って踊ってやたら長いやつでしょ?」「全然リアリティーないし、ツッコミどころが多すぎる」と批判する方もいらっしゃるでしょう。
たしかに、予告でも観られるように船が宙に浮いたり、ヤシの木のカタパルトで城攻めしたりっていうのは全然リアリティーないし、ツッコミどころといえばそうかもしれません。
でもね、「バーフバリ」にはそれをツッコませない、ツッコもうとする人を捻じ伏せるパワーがあるんですよ。
プロレスでたとえるなら、新日本プロレスが誇るIWGPヘビー級の絶対王者、オカダ・カズチカ選手の必殺技。
30歳にして新日本プロレスの最高峰IWGPヘビー級のベルトを4度戴冠、通算防衛回数20回以上!彼の必殺技(フィニッシュホールド)である変形ショートレンジ式ラリアットは、自身のニックネームと同じ「レインメーカー」!
オカダ選手が、立ちはだかる強敵を何度もレインメーカーでマットに沈めてきた結果、絶対王者と呼ばれる存在にまで上り詰めたわけですが、それでも一部のファンからは「レインメーカーには説得力がない」「オカダ時代にはもう飽きた」というケチがつく。
でもね、王者の誇りが詰まったレインメーカーは映画の王様でも同じで。
一部のファンの「説得力がない」という批判も何のその。「王の凱旋」には、言葉で説得できない者を力づくで納得させる絶対的な画のパワーがあるんですよ。
インド映画史上最大の制作費25億ルピー(42.5億円)と、世界興収2億7000万ドル(約308億円)!これが、世界にカネの雨を降らす王者の風格だ!レェェベルが違うんだよコノヤロウ!!
好きなシーンいっぱいあるけどとりあえず言いたい
前作「伝説誕生」にはシヴドゥとアヴァンティカのダンスとか、蛮族との戦闘で登場した巨大な布とか、好きなシーンはいっぱいあったんですが、「王の凱旋」はそれ以上でしたね。もうオープニングから最高ですよ。
古来のインドで国母が執り行う(らしい)、頭に火鉢を載せて徒歩でシヴァ神の神殿を3周するという「火の儀式」。
オープニングでは国母シヴァガミがやってます
この儀式のシーンだけでも十分に持ってかれるわけですが、そこで一頭の巨大なゾウが暴れ出します。観衆が逃げ惑うなか、ただひとり儀式を遂行するシヴァガミ!国母の絶体絶命のピンチにあらわれたのは、我らが王、アマレンドラ・バーフバリ!!
……って、それが想像の上の上を行く登場でしてね。
引っ張り出してきたのは、巨大なだんじり!しかもシヴァガミはだんじりの隙間から歩み出、堂々たる出で立ちで儀式を続行!
さらにアマレンドラ、暴れん坊のゾウを手なづけ服従までさせてしまう……さすが我らの王、称えずにはいられない!!
ポスター用の画像かと思ってたけど、まさか本編でこれを拝めるとは
それに続いてのこれ
もうね、宇宙最強の王の物語なんだから、島国ニッポン人の想像の範疇なんて、マヒシュマティ王国の領土に比べたら小せえもんです。オープニングからすべてを超えてきてますよ、「王の凱旋」は。
未見の方に言っておくと、話題になってる「ヤシの木カタパルト」なんて、これらのほんの一部でしかないです。マジで。
「王の凱旋」は、前半が父王であるアマレンドラが裏切りによって暗殺されてしまうお話。後半が、その実子マヘンドラが父の復讐のために立ち上がるお話。
前半の父王の死までですでにお腹いっぱいなのに、そこからさらに別腹のごちそうが運ばれてきちゃうわけです。もう嬉し涙を流して「いただきます」しちゃいますよね。
映像は言うまでもなく音楽も最高にアガる
前作に引き続き、「王の凱旋」もこれまたアガる曲ばかりでしてね。とくに僕のお気に入りは「マヒシュマティ王国のテーマ」(Maahishmati Anthem)でして。
オープニングの「Bali Bali Baahubali」もアガる曲なんですが、これなんか映画『スター・ウォーズ』の歴史的名曲「インペリアル・マーチ」のように、「悪の帝国」感たっぷりの曲じゃないですか?
「インペリアル・マーチ」を聴いたらダース・ベイダーの姿が浮かぶように、「マヒシュマティ王国のテーマ」を聴いたら、即座に巨大な王宮がサブリミナルしちゃいますね。
「王の凱旋」で使用されている一部の曲は、AmazonのPrime Musicで配信されています。映画を観た後はぜひ、こちらで各シーンを思い出しながら王に忠誠を誓いましょう。
というわけで、まとめ
年の瀬になると、映画ファンの間では各方が選ぶ「今年の映画ベスト10」がツイッターなんかで披露されてますが、まあ「ベスト10をキメるなら『バーフバリ 王の凱旋』を観てから」というのは、まことに正論でございましたね。
今年だれもがベスト映画に選ぶであろう『ドリーム』や『ラ・ラ・ランド』とは、まっっったく趣を異にする映画ではあります。しかし、「バーフバリ」ほど、観衆の全員が王を称えるあまり、その御御足を戴かんと頭を垂れる映画も他にないですよ。
『バーフバリ 伝説誕生』も『バーフバリ 王の凱旋』も、シヴァ神も裸足で逃げ出すレベルの、予告の宣伝に一寸の間違いもない空前絶後の映画でした。インドから最高のお年玉が届きましたよ、ホントに。
前作『バーフバリ 伝説誕生』の感想&レビューはこちら
Amazonでも観られますよ
フィギュアはまだ発展途上か。次はぜひコトブキヤで