幸福を科学する財団が「全部、言っちゃうね。」 映画『アサシンクリード』の感想、レビュー。
こんにちは、もとむらはじめ(@motomurahajime)です。
相変わらず行きつけの立川シネマシティでは『ラ・ラ・ランド』が大好評でしてね。公開から1週間が経ちましたが、まだまだ満席状態は続きそうです。
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そんななか、土曜日にはフジテレビで地上波初放送の超人気ディズニーアニメ『アナと雪の女王』が放送され、いかにも「フジテレビ感」満載の余計な企画や演出が視聴者から総スカンを食らい、Twitterが面白いことになってましたね。
『アナと雪の女王』、せっかくノーカットで放送したのに、エンディングが謎のフジテレビバージョンに差し替えられてて苦情が殺到している模様。 #アナ雪 pic.twitter.com/PGAAsT6C2I
— タイプ・あ~る (@hitasuraeiga) 2017年3月4日
さてさて、そんな映画づくしの今週末に、観てきましたよ新作映画。今回観てきた映画は超人気アクションゲームの実写映画『アサシンクリード』でございます。
それでは、レビューへとまいりましょう。
映画『アサシンクリード』
【原題】Assassin's Creed
【公開】2016年12月21日/アメリカ
【上映時間】115分
【監督】ジャスティン・カーゼル
【脚本】ビル・コレイジ、アダム・クーパー、マイケル・レスリー
【出演】マイケル・ファスベンダー、マリオン・コティヤール、ジェレミー・アイアンズ
【あらすじ】記憶を失った死刑囚のカラム・リンチ(マイケル・ファスベンダー)は、謎の施設に送り込まれ、遺伝子操作によって自分の祖先の記憶を追体験させられる。祖先は、スペインでテンプル騎士団に立ち向かう伝説のアサシン(暗殺者)であり、禁じられた秘宝“エデンの林檎”のありかを知る人物だった。(シネマトゥデイ)
映画.comの評価平均点 2.9 点 / 評価:10件
Yahoo!映画の評価平均点 3.01 点 / 評価:155件
Filmarksの評価平均点 3.2点 / 評価:606票
僕の評価は100点中 50点
僕のざっくりとした感想は...
マジメに観れば退屈だけど、いろいろツッコミどころを探しながら観ると、そこそこ楽しめる。
アサシンたちのパルクールや近接戦闘など、アクションはそれなりに魅せていましたが、それ以外の部分では非常に粗が多い印象でした。
映画を観る前に... 予習をしよう。
このブログ記事を読まれている方はほぼご存知かと思いますが、映画『アサシンクリード』はユービーアイソフト社の人気アクションゲーム『アサシンクリード』シリーズが元となっています。
僕は『アサシンクリード』シリーズの存在は知っていても、ゲームじたいは未プレイ。本作を1回観て思うに、ある程度の予習は必要かと。公式サイトでは世界設定や用語の解説などありますので、本作をより楽しみたいという方は、ぜひ一読あれ。
それでは、僕なりに設定、用語などをざっっっくりとまとめてみます。(引用はすべて公式サイトから)
映画『アサシンクリード』に登場する組織
まず、映画『アサシンクリード』には対立する2つの勢力が登場します。
【アサシン教団】
人間の自由な意志や活動を尊重し、テンプル騎士団とは対立を深めていく。歴史のどんな場面でも、その身をさらすことなく使命を全うしてきた。
主人公カラム・リンチの祖先は、スペインでテンプル騎士団に立ち向かう伝説のアサシンで、禁じられた秘宝「エデンの果実」のありかを知る人物。
【テンプル騎士団】
「エデンの果実」を手に入れて人間の自由意志を奪うことで、世界をコントロールしようとし、アサシン教団と争いを続けている。人間の自由意志を奪って救済するという理念のもと、自分たちの目的のために政治を腐敗させ、宗教を悪用し、権力と富を追求していた。
ショッカーみたいな悪の組織ですね。中世の頃から、現在も形を変えて存在しているということらしいです。
【アブスターゴ財団】
テンプル騎士団が設立した多国籍複合組織。宗教の力が衰えたため、科学を応用した技術戦争を仕掛けようと、研究や発明に投資が行われた。
テンプル騎士団の下部組織みたいなものですね。ショッカーでいうところの怪人が運営するアヤシイ研究施設...と理解すればOKかと。
アブスターゴ財団の科学者でアニムス(あとで解説)の開発者ソフィア・リッキン博士。リンチの祖先の記憶から「禁断の果実」の在り処を探る。
ソフィアの父で財団の長、アラン・リッキン。テンプル騎士団からの密命を帯びている。
映画『アサシンクリード』に登場する重要アイテム
【アニムス】
アブスターゴが開発した画期的な装置。被験者は脊髄部分が接続され、DNAに保存された遺伝子の記憶が呼び起こされる。
予告動画にも登場する、「記憶呼び起こし装置」です。記憶が呼び起こされた被験者は、記憶も肉体も祖先と同じようにリンクする。おそらく運動不足の死刑囚でも、凄腕のアサシン同様の身体能力が発揮できる...らしい。
【エデンの果実】
遺伝子そうなによって人間の暴力性を取り除く力があるといわれている歴史的秘宝。人間の自由な意志も失わせることができる。テンプル騎士団が人類の支配力を強めるため、長年んその在り処を探し続けてきた。
旧約聖書でアダムとイブが食べた「禁断の果実」ですね。要はこれさえ手に入れれば、ショッカーの世界征服は完了すると。
ここまでの情報は、公式サイトおよび予告動画から得られますので、ネタバレにはなっていないと思います。
こういった世界観、設定はダン・ブラウン原作、トム・ハンクス主演で映画化もされた『ダ・ヴィンチ・コード』と似通っているところがあります。
観ておくと、きっと役に立つ『ダ・ヴィンチ・コード』
サスペンスとしては『ダ・ヴィンチ・コード』の方がしっかり出来てましたけど、『アサシンクリード』は果たして... 以下、ネタバレも含めたレビュー、感想です。
アクションは良かったけど、サスペンスは...
この作品のダイジェストをざっくり言ってしまうと...
アサシンの血統を持つ主人公カラム・リンチを実験台に、人間が持つ「殺る気スイッチ」を治療する名目で研究を行っていた、人類の幸福を科学する「アブスターゴ財団」ことテンプル騎士団。
ラスト、財団の長であるリッキン博士が、娘であるソフィアに財団の真の目的を「全部、言っちゃうね。」しちゃったもんだから物語は怒涛の展開に...
です。
あれれ、最近何か似たようなことが日本の芸能界で起こったような。
これ誇張でもなんでもなくて、実際そんな感じ。僕にとっては終始ネタじゃないかと思えるくらい、最近のとある芸能スキャンダルをこじつけてしまうような内容でしてね。
まあ、それは脇に置くとして。
そう言えば、つい最近観たとある映画も、「これさえあれば世界を征服できるアイテム」を巡るお話だったので、なんだか「またこれ系の話かよ...」なんて思ったり。
さて、映画『アサシンクリード』。映画のジャンルとしては「SFアクション」なんでしょうけど、それにしてもサスペンス要素が薄口すぎて、物足りなさを感じました。
ゲームの方は未プレイなので実際どうなっているのかわかりませんが、映画版『アサシンクリード』は、主にアブスターゴ財団の研究室を舞台とした「現代パート」と、主人公カラム・リンチの記憶のなかの中世スペインを舞台とした「中世パート」の二軸で進んでいきます。
楽しいのは中世パート。壁や建物を駆け巡るパルクール、近接格闘などのアクションが見どころです。建造物や衣装の時代感も非常に良かった。僕は2D字幕版で鑑賞しましたが、おそらく3D、4DXで観ると、またさらに臨場感、躍動感のあるアクションが楽しめるんじゃないでしょうか。
一方の現代パートはというと... 中世パートに比べサスペンス要素に重きを置いている模様。記憶呼び起こし装置「アニムス」に接続され、先祖の記憶と身体能力が憑依したカラムの記憶を紐解きながら、アサシンの謎や「禁断の果実」に迫っていくのが中心。
そのなかでとくに重要になってくるのが「アニムス」で繰り広げられる、カラムの「エア・格闘」。これがまあ何というか... 冷静に見たら非常にシュールでしてね。
わかる人にならわかるネタですが、このシーンで板垣恵介先生の漫画『刃牙』でおなじみの「エア・カマキリ」を連想してしまってからは、終始半笑いで観てました。
刃牙本人ではなく、他人にも見えてくるのがエア・カマキリ
もちろん、映像ではエフェクトで「カラムの周囲に中世のビジョンが見えてる体」になってるんですけど、それが逆に「エア」感を増強させているのがまたシュールでしてね。
さらに、ホントいろんなところで粗が見えてきて。一番ツッコミを入れたくなったのが、アブスターゴ財団が「禁断の果実」の在り処を発見するプロセス。
先に書いたように、カラムの祖先の記憶に「禁断の果実」の秘密が隠されている...のはわかるんですけど、記憶の中から「禁断の果実」の在り処が判明してから、財団が「禁断の果実」を手にするまでが実にスムーズ。
スムーズすぎて、呆気にとられるレベル。
「スペインのとある聖堂の、とある歴史上の人物の墓に『禁断の果実』は眠っている」というのが答えだったんですが、毎年5億ドルもの研究費をかけて「禁断の果実」を探り当てるより、財団、ひいてはテンプル騎士団の強権を持ってすれば、全世界の教会なり聖堂に呼びかけてすぐに見つけることができたんじゃないのかなあ~と。果実の在り処が判明してからは、聖堂の司祭みたいな人があっさり運んできましたからね。
上映時間の制約はあったでしょうが、もう少しサスペンス要素にも力を入れてほしかった。
ゲーム『アサシンクリード』シリーズが好きで、プレイ経験のある方がどのような感想を持たれるのかは興味深いところですが(コメントいただけると!)、アクションは文句なしに楽しめましたよ。暗殺者というわりには人目につくところで動き回ってなあ~とは思いましたけど。
なので、この映画を一言でまとめてしまうと、「アクションは良い、サスペンスはもう少し頑張れ」って感じでしょうか。
というわけで、まとめ。
どの映画レビューサイトも軒並み評価を落としているのは、アクションパート以外の部分ではないでしょうかね。超人気ゲームの実写映画化ということで、期待する声が大きかった分、その出来栄えが残念だったら、まあ酷評もしたくなる気持ちも理解できますから。
とはいえ、どうやら続編があるような終わり方をしてますし、本作で終わるようなシリーズではないと思いますので、何年語になるかわかりませんが、パート2の公開を少しだけ期待して...待ちたいと思います。
ゲーム『アサシンクリード』の最新作がこちら。
カッコよかった「アサシンブレード」